来院者専用ブログ

歯ならび/歯列矯正

院長のとっておきの話 その14 あなたの印象は口元で決まる?歯並びが他人に与える意外な影響【科学的根拠あり】

はじめに:普遍的な関心事

自分の笑顔に自信が持てなかったり、歯並びが他人にどう見られているか気になったりした経験はありませんか?その不安は、単なる見た目の問題ではなく、私たちの脳が他者をどう判断するかに深く関わる、強力な無意識のバイアスに根差しているとしたらどうでしょう?

実は、この懸念は単なる「気のせい」ではなく、科学的な研究によって裏付けられている現象です。最近、ドイツのゲッティンゲン大学医療センターとマンハイム大学の共同研究では、最新の視線追跡(アイトラッキング)技術を用いて、歯並びの乱れ(不正咬合)が他人の社会的評価にどのような影響を与えるか、驚くべき事実が明らかにされました。この記事では、その研究から得られた最も重要な発見を分かりやすく解説します。

1. 歯並びが悪いと「不親切」だと思われる? — 評価される第一印象

研究の核心的な発見の一つは、第一印象が歯並びによって大きく左右されるという点です。研究では、一般の人々に様々な顔写真を見せ、その印象を評価してもらいました。

その結果、重度の不正咬合がある人物の写真(MT0グループ)は、以下の3つの項目で著しく低い評価を受けたのです。

  • 歯の全体的な状態(dental condition)
  • 笑顔の好ましさ(smile valence)
  • 親しみやすさ(friendliness)

これは非常に重要な意味を持ちます。歯並びの問題は、単なる見た目の美しさだけでなく、その人の性格や人柄に対する評価にまで影響を及ぼすことが示されたのです。研究によれば、歯並びが整っている人は、そうでない人に比べて「より親切である」と認識される傾向がありました。

2. 視線は正直:乱れた歯並びに無意識に目が引きつけられる

この研究は、人々の主観的な評価だけに頼ったものではありません。アイトラッキング技術を使い、人々が写真の「どこを」「どれくらいの時間」見ていたかを正確に測定しました。その結果、私たちの無意識の行動が明らかになりました。

  • より速い視線の到達:重度の不正咬合がある顔(MT0)を見た時、観察者の視線は、歯並びが整っている顔を見た時よりも速く口元に到達していました。
  • より長い注視時間:観察者は、不正咬合がある人の口元をより長い時間見つめていました。

この無意識の行動が何を意味するのでしょうか。研究論文は、このように口元への注意が偏ることは「不正咬合によるスティグマ(負の烙印)のリスクを内包している」と結論付けています。この無意識の視線の集中こそが、セクション1で見た「不親切」といったネガティブな第一印象が形成される土台となっているのかもしれません。

3. 隠された笑顔の理由:歯並びが自信と表情に与える影響

では、なぜ不正咬合がある人は「不親切」だと評価されがちなのでしょうか。その一因として、他者からの視線が自分自身の行動に与える影響が考えられます。

研究では、見た目にわかる歯の問題を抱えている人は、自尊心が低下する可能性があると指摘しています。そして、その心理的な影響が、顔の表情に現れるというのです。これは、他者からの視線が自己評価に影響し、その自己評価がさらに他者からの評価を下げるという、一種の悪循環を生み出している可能性を示唆しています。

研究によると、目に見える不正咬合を持つ人は、それを恥ずかしく思い、唇で隠そうとすることがあります。これにより、笑顔が不自然で強張ったものになったり、そもそも笑顔の頻度が減ったりする可能性があります。その結果、他者からは「親しみにくい」という印象を持たれてしまうのです。

このように、歯並びへのコンプレックスが自信のなさにつながり、自然な笑顔を妨げることが、意図せずして社会的な評価を下げてしまう一因となっているのかもしれません。

4. 治療で印象は劇的に改善する—でも、それだけではない?

この研究は、矯正治療が非常に有効であることも明確に示しています。不正咬合の治療後(MT1グループ)の写真では、歯の状態、笑顔、親しみやすさの評価がすべて大幅に改善しました。

しかし、研究報告は興味深い注意点も示しています。論文の要旨では治療後の評価は対照群(CG)と「同等(comparable)」とまとめられていますが、詳細な結果を見ると、実は「歯の状態」「笑顔の好ましさ」「親しみやすさ」の全ての項目で、治療後の評価は対照群のレベルには統計的に有意な差で及ばなかったのです。

その理由として、研究ではいくつかの可能性を挙げています。例えば、矯正治療だけでは変わりにくい微妙な顔の非対称性や骨格構造が印象に影響し続けている可能性や、治療前に歯周病による骨の減少があった場合、それが笑顔の見た目に影響を残している可能性などが考えられます。これは、顔の印象がいかに複雑な要素で成り立っているかを示す、現実的な洞察と言えるでしょう。

結論:あなたの笑顔の真の力

今回の研究結果をまとめると、歯並びは見た目以上に、私たちの社会的な印象や他者との関係に深く関わっていることが科学的に証明されたと言えます。第一印象から無意識の視線の動きに至るまで、その影響は広範囲に及びます。

つまり矯正治療とは、単に歯を物理的に動かす医療ではなく、自信を高め、他者とのコミュニケーションを円滑にし、社会的な幸福度を向上させるための投資である、とこの研究は力強く示唆しているのです。

あなたの笑顔は、あなたの魅力を最大限に伝えていますか?

【動画で知りたい方はこちら↓】(一部読み方がおかしい部分がありますが内容は正確です)

引用)

Mai LM, Meyer-Marcotty P, Wiechens B, Quast A, Alpers GW, Gerdes ABM. Faces with severe front tooth misalignment are particularly perceived: emotional and social perception and eye-tracking. J Orofac Orthop. 2025 Oct 14. English. doi: 10.1007/s00056-025-00615-9. Epub ahead of print. PMID: 41087705.

院長紹介

院長

Tatsuya Aoyama

皆さま、こんにちは。私たちの歯科医院では、患者さま一人ひとりに寄り添い、最適な治療を提供することを目指しています。
精密な技術と設備を活用し、痛みの少ない治療を心掛けています。また、審美治療やインプラント、メインテナンス、訪問診療、抗加齢医学的栄養療法など、幅広いニーズに対応できる専門的なケアを提供しております。皆さまの笑顔を守り、健康的で美しい歯を維持するお手伝いをさせていただきます。お気軽にご相談ください。

略歴

H6年3月
宮崎県立延岡高校卒業
H12年4月
国立徳島大学 歯学部歯学科卒業
H12年5月
歯科医師免許証取得
H12-15年
インプラントセンター、予防歯科医院など3件で勤務
H15年7月
瑞の木会 ローズタウン歯科入社
H22年2月
ローズタウン歯科クリニック 継承
H31年4月
医療法人 地天泰 理事長 就任

所属

  • 日本歯周病学会(歯周病)
  • 日本口腔インプラント学会(インプラント)
  • 日本顕微鏡歯科学会(マイクロスコープ)
  • International Team for Implantology(ITI) member(インプラント)
  • 日本抗加齢医学会(アンチエイジング)
  • 日本分子状水素医学生物学会(アンチエイジング)
  • 日本アライナー矯正歯科研究会(マウスピース矯正)
  • Er-YAGレーザー臨床研究会(レーザー)
  • 日本口腔検査学会
  • 浦安市歯科医師会
  • 千葉県歯科医師会
  • 日本歯科医師会
  • 学校歯科医会

資格

歯科医師、日本抗加齢医学会専門医、ITIセクションジャパンインプラントスペシャリスト認定医