口腔外科・親知らず外来

お口周りのお悩みは歯科口腔外科へ

親知らずから口内炎まで
広い範囲を視野にした口腔外科

口腔外科は、お口の中や顎の周りに発生する様々な疾患やお悩みに対して、専門的な診断と治療を提供する歯科の分野です。一般的な虫歯や歯周病の治療とは異なり、高度な外科的処置が必要な症例を扱います。
親知らずの抜歯、顎関節症、顎の変形、口腔内の腫瘍、口唇口蓋裂、外傷による顎の骨折などが、口腔外科の主な治療対象です。これらの疾患やトラブルは、噛む、話す、呼吸する、見た目など、日々の生活の質に大きな影響を及ぼします。そのため当院では、専門的な知識と技術を活かして、患者様のお口の機能回復と生活の質の向上を目指しています。

親知らずの抜歯について

親知らずの生えてくる理由

私たちの先祖から現代人まで、人類の歯の形や役割は大きく変化してきました。特に最後の臼歯である第三大臼歯(親知らず)には、興味深い進化の歴史があります。
人類が狩猟採集生活を送っていた時代、食事の中心は硬い木の実や生肉でした。こうした食材を効率的に咀嚼するため、顎の骨格は大きく発達し、32本すべての歯が正常に並ぶスペースが確保されていました。特に親知らずは、硬い食物を粉砕する重要な役割を担っていたのです。
しかし、食生活が大きく変化した現代では様相が異なります。火を使った調理や、加工食品の普及により、私たちが口にする食事は柔らかくなりました。その結果、顎の発達が抑制され、15歳から25歳頃に生えてくる親知らずのための十分なスペースが確保できなくなっています。

POINT

親知らずは抜いたほうがいい? 抜かないほうがいい?

親知らず(親不知)が生えている場合、早く抜いたほうがいいのではないか、とお悩みの方もおられるかと思います。確かに、親知らずを放っておくことで痛みや腫れが生じることもあります。ですが、全ての親知らずを抜かなければならないわけではありません。それどころか、抜かずにすむ親知らずは抜かないでおくほうがいいと当院では考えます。

親知らずの抜歯を行うメリット

親知らずの抜歯と小顔の関係

特に女性の方にとっては、親知らずの抜歯が小顔効果をもたらすのか、ということが気になるようです。小顔になるのであれば親知らずを抜くことも検討したい、というのだと思われますが、結論としては、それを期待しての抜歯は控えたほうがよいでしょう。確かに下顎の親知らずはエラ部分に近く、歯を抜くことで骨が吸収されてエラが薄くなる可能性はあるのですが、見た目にはっきりと表れるほどではないと考えられます。親知らずの抜歯は、必要のある時に限るのが無難です。

親知らずを原因とした歯のトラブルを回避

親知らずが正常に生えるスペースがない場合、隣の歯を押し広げたり、歯並びを乱したりすることがあります。これが原因で矯正治療が必要になることもあります。
こうしたリスクを回避するためには、親知らずを早めに抜歯することが効果的です。若い時期に抜歯することで、回復も早く、手術後の合併症のリスクを減少させることができます。以下のようなケースでは親知らずを抜くことをおすすめします。

親知らずの抜歯をすすめる4つのケース

01歯ぐきから少し親知らずが覗いており、それ以上成長しないと判断した場合

多くの場合、親知らずが横や斜めに生えており、歯ぐきから一部のみ露出している状態がこのケースです。こうした場合、ブラッシングなどによる清掃が大変で、歯周病や虫歯といったリスクが高まります。早めに抜いてしまったほうがよいでしょう。

02手前の歯を親知らずが圧迫している場合

親知らずが横へと伸びている場合、隣接する手前の歯を親知らずが圧迫し、今後の歯並びに悪い影響を及ぼす可能性があります。たとえ現時点で痛みはなくとも、抜いておいたほうがよいと考えられます。

03親知らずが歯ぐきや頬を傷つけている場合

親知らずが咬み合わないまま成長すると、歯ぐきや頬を傷つけてしまう場合があります。こうした場合は炎症などの原因となるので、抜いてしまうに越したことはありません。

04親知らずが重度の虫歯になる場合

そもそも親知らず自体が虫歯になってしまっているのであれば、無理に残そうとするよりも抜歯してしまったほうがよいともいえるでしょう。

当院の親知らず抜歯について

低侵襲を目指すマイクロスコープを使用した親知らず抜歯

当院では、親知らずの抜歯にマイクロスコープ(歯科用顕微鏡)を活用しています。マイクロスコープは肉眼の20倍近いレベルまで患部を拡大できるのがメリットです。歯の周囲の細かな組織や神経を細かく確認したうえで、慎重に手術を進められます。結果的に術後の腫れや痛みを最小限に抑えられるのです。抜歯に不安がある方も、安心して治療を受けていただけます。

  1. Flow01

    処置前の様子

    奥歯のさらに奥の方がなんとなくムズムズするので見てほしいという方がいらっしゃいました。確かに、X線写真を撮ってみると親知らずが横を向いています。

  2. Flow02

    口腔内の確認

    口の中から見てみるとどうなっているでしょうか?矢印の部分に親知らずがあるようですが、全く生えてきていないので見えません。

  3. Flow03

    低侵襲な処置

    親知らずの抜歯にマイクロスコープを使用することで、肉眼で治療するよりも切る量を圧倒的に減らすことができ、なおかつ、抜歯する歯の状況把握が非常にやりやすくなります。

  4. Flow04

    治療完了

    親知らず抜歯後の痛みは、その侵襲度合いの大きさに比例しますので、できるだけ歯ぐきを切らない、骨を削らない親知らずの抜歯を歯科顕微鏡を用いて実践してます(保険診療で約5,000円、治療回数1回)。

POINT

抜歯後の痛みについて

親知らずの抜歯は痛いというイメージが強いと思いますが、実際に抜歯自体は麻酔が効いている状態で行いますので痛みを感じることはありません。また、上顎の親知らずであればあっという間に抜けてしまうことがほとんどです。しかし、麻酔が切れたあとにはケースによっては痛みを伴います。当院では下記の対策を行うことで麻酔が切れたあとでも痛みを緩和できるように努めております。

抜いた後の親知らずの再利用

親知らずをできる限り抜かず残しておくべき理由として「親知らずの移植(自家歯牙移植)」が挙げられます。
例えば、虫歯などでやむを得ず抜歯しなければならない歯がある場合、親知らずをそこへ移植することで噛み合わせを戻すことができる可能性があります。隣接した歯を抜く場合、矯正治療によって親知らずを手前に引っ張ってくることで、外科手術としての移植が不要になり、歯列矯正で済む可能性があります。また手前に並んだ歯を抜く場合に、ブリッジを作る必要があるとき、親知らずを軸にすることができます。

抜歯によって歯が欠ける場合に、親知らずはインプラントや入れ歯とは異なる選択肢を残してくれるのです。また、インプラントや入れ歯とは異なり、親知らずは天然歯で、かつ自分の歯ですから、身体にもよく馴染むのです。

POINT

自家歯牙移植を希望される場合はご相談ください

残念ながら、親知らずであれば無条件で移植ができるというわけにもいきません。
親知らずの形状やサイズ、どこへ移植したいのかといったことがポイントとなりますので、ひとまずご来院をいただいた上で、診察を受けてみてください。

口腔がん検診

口腔がんとは

口腔がんは、初期段階だと自覚症状に乏しいことが多く、進行してから発見されるケースが少なくありません。痛みや腫れ、潰瘍、出血、口臭などの症状を、歯周病や口内炎と混同してしまうことがその理由です。口腔がんの治療成績を上げるには、早期発見が何より大切です。当院では、40歳以上の方を対象に、問診や視診、触診、口腔内写真撮影、採血検査などを通して、口腔がんのスクリーニングを行っています。定期的な検診により、異常を早期に発見し、適切な治療につなげていきましょう。

ブログ記事へ

口腔がんを予防するためには

口腔がんの発症リスクを下げるためには、日々の生活習慣の見直しが欠かせません。まず、タバコの喫煙は口腔がんの大きな要因となりますので、禁煙を心掛けましょう。過度な飲酒も同様にリスクを高めるため、適度な飲酒を心がけてください。
また口腔内の衛生状態を良好に保つことも重要です。毎日の丁寧な歯磨きやデンタルフロスの使用で、口腔内を清潔に保ちましょう。さらに合わない入れ歯や詰め物が舌や頬を傷つけていると、口腔がんのリスクが高まることがありますので、違和感を覚えたら早めに歯科医に相談してください。定期的な歯科検診を受けることで、口腔内の異常を早期に発見し、適切な対処ができるようになります。

浦安市の口腔がん検診

口腔内粘膜疾患

口腔内の粘膜は、唾液によって常に湿った状態が保たれ、外部からの刺激から守られています。しかし、歯や食べ物による物理的な刺激や温度の変化、細菌感染などの影響を受けやすいのが特徴です。これらの要因によって、口腔内の粘膜に異常が生じる疾患を「口腔内粘膜疾患」と呼びます。口腔内粘膜疾患は、痛みや不快感を引き起こし、食事や会話に支障をきたすこともあるのが厄介な点です。

POINT

口腔外科で扱う口腔粘膜疾患の例

口腔粘膜疾患は、口唇、舌、歯肉、頬の内側、口蓋など、口腔内のさまざまな部位に症状が現れます。代表的な疾患として、口内炎、舌炎、扁平苔癬、白板症などが挙げられます。これらの疾患は、痛みや腫れ、潰瘍、粘膜の変色など、多様な症状を引き起こすのが特徴です。また、外部からの刺激によって症状が悪化することもあり、診断や原因の特定が難しい場合もあります。症状が長期間続いたり、強い痛みを感じたりする場合は、迅速に当院までご相談ください。

  • 白板症
  • 紅板症
  • アフタ性潰瘍(口内炎)
  • 口腔扁平苔癬(へんぺいたいせん)
  • 口腔カンジダ症
  • 口腔乾燥症
  • 天疱瘡(てんぽうそう)
  • 舌炎

お口周りの外傷

日常生活やスポーツ中の事故、転倒、交通事故、喧嘩などで、口元や歯に外傷を負うことがあります。お子様の場合、遊んでいる最中に転倒したり、友達と衝突したりするケースが多く見られます。一方で大人の場合、硬い食べ物を噛んで歯が欠けるケースも少なくありません。これらの外傷は、一見すると問題がないように見えても、後から症状が現れることがありますので、早めの受診が大切です。

  1. 01

    顔面の骨の骨折

    顔面の骨折の中でも、下顎骨の骨折は最も多く見られる症例の一つです。自転車での接触事故、スケートボード中の転倒、サッカーをプレイ中の衝突など、日常生活のさまざまな場面で起こり得ます。
    下顎骨は顔の下部に位置し、咀嚼筋という口を開閉する筋肉が存在しています。そのため骨折が起きると開口障害が生じ、食事や会話に支障をきたすケースがあるのです。

  2. 02

    歯の破折

    強い衝撃や硬いものを噛んだ際に、歯に亀裂が入ったり折れたりすることがあります。特に奥歯が縦に割れると、強い痛みを感じるのが特徴です。ただ小さな亀裂は発見しにくく、原因不明の痛みとして見過ごされることもあります。そのまま放置すると症状が悪化し、治療が難しくなる場合がありますので、違和感を覚えたら早めに歯科医にご相談ください。

  3. 03

    歯の打撲・脱臼

    歯を強くぶつけた際、見た目には異常がなくても歯根膜に炎症を起こす「歯の打撲」が生じることがあります。また、強い衝撃で歯が部分的に、あるいは完全に抜けてしまう「歯の脱臼」が起こるケースも考えられます。ただ脱臼した歯でも、迅速な対応を行えば再植ができるかもしれません。抜けた歯は乾燥させず、生理食塩水や牛乳に浸して保存し、できるだけ早く歯科医を受診してください。再植後は周囲の歯と固定し、一定期間安静にする必要があります。