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痛み軽減

院長のとっておきの話 その15 歯医者の「キーン」が怖い?手術中の不安を音楽が和らげるという最新研究を解説!

歯の治療、特に外科手術と聞くと、多くの人が緊張や不安を感じるのではないでしょうか。治療室に響く独特の機械音、いわゆる「キーン」という音を想像するだけで、心臓がドキドキしてしまう方も少なくないはずです。特に女性の方が、治療前の不安を強く感じる傾向があるというデータもあります。

もし、そんな手術中のストレスを、音楽を聴くという簡単な方法で和らげることができたら、どうでしょう?「そんなことで本当に効果があるの?」と思うかもしれません。

実は、まさにその疑問に答えるための科学的な研究が最近発表されました(Alkaya Karagoz & Altundogan, 2025)。この研究では、多くの人が経験する「埋伏した下の親知らずの抜歯手術」を受ける患者さんを対象に、音楽が不安にどのような影響を与えるかが調査されました。今回は、歯科医療に携わる者として、この興味深い研究結果を分かりやすく解説していきます。

音楽は、不安な時の心強い味方になるかもしれない

研究者たちは、親知らずの抜歯手術を受ける66人の患者さんを3つのグループに分けました。

  1. 音楽とホワイトノイズを聴くグループ
  2. 音楽だけを聴くグループ
  3. 手術室の自然な音(機械音など)をそのまま聞くコントロールグループ

音楽を聴くグループの患者さんは、タブレットに用意されたプレイリストから音楽を選び、周囲の音を遮断する遮音性のヘッドホンで聴きました。これにより、不安の原因となる治療音を物理的にブロックしたわけです。ちなみに、ホワイトノイズとは「(木々、滝、海の波のような、様々な周波数の音が混ざり合った連続的で単調な音)」のことで、リラックス効果が期待されるものです。

手術の前後にそれぞれのグループの不安レベルを測定したところ、音楽を聴いたグループとそうでないグループとの間に、科学的にはっきりとした差は見られませんでした。専門的に言うと「統計的に有意な差はない」のですが、これは「効果がゼロ」という意味ではありません。むしろ、音楽を聴いたグループの方が不安が和らぐ傾向が見られた、ということです。科学的な証明には一歩届かなかったものの、良い兆候がある、と研究者は考えています。

この研究の最終的な提言は、私たち患者にとって非常に心強いものです。

シンプルで、費用もかからず、非侵襲的な方法として、術前および術中に患者自身が選んだ音楽を聴くことは、患者にとって有益である可能性があります。

これが、あなたにとって何を意味するのか たとえ効果が100%保証されていなくても、音楽はリスクゼロで費用もかからない、あなたが主体的に自分の環境と快適さをコントロールできるツールです。試してみる価値は十分にある戦略と言えるでしょう。

一番の安心材料は「治療が終わった」という事実そのもの

この研究で、もう一つ非常に興味深い発見がありました。それは、手術が終わった後、3つのグループすべての患者さんの不安レベルが大幅に低下したという事実です。これには、手術室の音をそのまま聞いていたコントロールグループも含まれます。

なぜ音楽を聴いていないグループの不安も和らいだのでしょうか?研究者たちは、この結果を「手術に伴う不安感がなくなったことによる安堵感と関連している」と分析しています。

これは、多くの人が経験する「予期不安」を裏付ける、非常に人間らしい結果と言えるでしょう。多くの場合、治療に対するストレスは、実際に治療が始まるまでの「これからどうなるんだろう」という想像の中で最も大きくなります。この研究結果は、「考えている時が一番怖い」という感覚が、決してあなただけのものではないことを示しています。そして、無事に治療を乗り越えた後の「終わった!」という達成感や安心感は、何よりも強力な不安解消薬になるのです。

現代の麻酔技術を信頼しよう

「治療は痛いんじゃないか」という心配は、歯科治療への不安の大きな原因の一つです。この研究では、手術中に患者さんが感じた痛みや圧迫のレベルも、VAS(視覚的アナログスケール)という指標で調査されました。

結果は非常に明確でした。3つのグループ間で、手術中に感じた痛みのレベルに有意な差は全く見られなかったのです。

研究者たちは、この結果の理由を「麻酔が成功裏に適用されたため」だろうと結論付けています。これは、患者さんにとっては素晴らしいニュースです。現代の局所麻酔は非常に効果的で、手術中の痛みをしっかりとコントロールできることを科学的に裏付けています。

これが、あなたにとって何を意味するのか この発見は、痛みの主な原因はあなたの歯科チームによって効果的に管理されている、という自信を与えてくれるはずです。これにより、あなたは痛みの心配から解放され、自身の不安感を管理することに集中しやすくなります。

結論:あなたの快適さが大切です

今回の研究から、私たちはいくつかの重要なヒントを得ることができました。まず、音楽は、遮音性ヘッドホンと組み合わせることで、手術中の不安を和らげるのに役立つかもしれない、シンプルで強力なツールです。次に、治療が終わった後の安堵感は、それ自体が大きな不安解消の効果を持っています。そして最後に、現代の麻酔技術は非常に信頼性が高く、治療中の痛みを効果的に管理してくれるということです。これらの知識は、歯科治療に対する漠然とした不安を、より具体的で対処可能なものに変えてくれるはずです。

【動画で知りたい方はこちら↓】(一部読み方がおかしい部分がありますが内容は正確です)

引用)
Alkaya Karagoz M, Altundogan S. The effect of music and white noise on patients’ anxiety and pain during surgery for impacted mandibular third molar: a single-blind randomized controlled trial. Eur J Med Res. 2025 Jun 23;30(1):506. doi: 10.1186/s40001-025-02767-1. PMID: 40551282; PMCID: PMC12183815.

院長紹介

院長

Tatsuya Aoyama

皆さま、こんにちは。私たちの歯科医院では、患者さま一人ひとりに寄り添い、最適な治療を提供することを目指しています。
精密な技術と設備を活用し、痛みの少ない治療を心掛けています。また、審美治療やインプラント、メインテナンス、訪問診療、抗加齢医学的栄養療法など、幅広いニーズに対応できる専門的なケアを提供しております。皆さまの笑顔を守り、健康的で美しい歯を維持するお手伝いをさせていただきます。お気軽にご相談ください。

略歴

H6年3月
宮崎県立延岡高校卒業
H12年4月
国立徳島大学 歯学部歯学科卒業
H12年5月
歯科医師免許証取得
H12-15年
インプラントセンター、予防歯科医院など3件で勤務
H15年7月
瑞の木会 ローズタウン歯科入社
H22年2月
ローズタウン歯科クリニック 継承
H31年4月
医療法人 地天泰 理事長 就任

所属

  • 日本歯周病学会(歯周病)
  • 日本口腔インプラント学会(インプラント)
  • 日本顕微鏡歯科学会(マイクロスコープ)
  • International Team for Implantology(ITI) member(インプラント)
  • 日本抗加齢医学会(アンチエイジング)
  • 日本分子状水素医学生物学会(アンチエイジング)
  • 日本アライナー矯正歯科研究会(マウスピース矯正)
  • Er-YAGレーザー臨床研究会(レーザー)
  • 日本口腔検査学会
  • 浦安市歯科医師会
  • 千葉県歯科医師会
  • 日本歯科医師会
  • 学校歯科医会

資格

歯科医師、日本抗加齢医学会専門医、ITIセクションジャパンインプラントスペシャリスト認定医