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審美/スマイル

院長のとっておきの話 その50 美しい笑顔の秘密は「歯の隙間」にあり?国際研究が明かす意外な事実

はじめに:美しい笑顔の、些細な秘密

誰もが一度は「美しい笑顔」に憧れたことがあるのではないでしょうか。白く整った歯並びはもちろん大切ですが、実は、笑顔の魅力を大きく左右する、見落とされがちな非常に小さなディテールが存在します。

それが「切縁空隙(インサイザル・エンブレージャー)」です。専門用語で難しく聞こえますが、これは「上の前歯の先端と先端の間にある、小さなV字型の隙間」のことを指します。実はこの隙間、歯の解剖学的な特徴から、真ん中の2本の歯の間は小さく、外側に向かうにつれて徐々に大きく、そして非対称になっていくのが自然な姿です。

最近、ポルトガル、フランス、イタリアの3カ国で行われた国際的な研究で、この「隙間」がどのように笑顔の魅力に影響を与えるかについて、いくつかの驚くべき事実が明らかになりました。この記事では、その研究からわかった重要なポイントを、わかりやすくご紹介します。

ポイント1:歯の隙間の「黄金の形」

最も魅力的と評価されたのは、丸みを帯びた形の隙間でした。

この研究の最も明確な発見は、切縁空隙の「形」に関するものでした。参加者(歯科医と一般の人々)は一貫して、研究で使われた男性モデルの、先端の角が丸みを帯びて隙間が自然に開いている笑顔(画像1)を最も魅力的だと評価しました。

対照的に、最も魅力が低いとされたのは、女性モデルの長方形の隙間、つまり歯の先端が平らで隙間がほとんど閉じている笑顔(画像6)でした。このような「画一的すぎる(too uniform)」見た目は、不自然に映るようです。

なぜこのような結果になったのでしょうか。これは、歯の先端の摩耗と深く関係しています。歯は年齢と共に自然にすり減り(咬耗)、切縁空隙は不明瞭になっていきます。つまり、角がすり減って平らになった歯は、無意識のうちに「老けた印象」を与えるサインとなるのです。一方で、適度に丸みを帯びたはっきりとした隙間は、若さと生命力を感じさせ、私たちの目に魅力的に映ると考えられます。

ポイント2:歯科医と一般の人々の美的感覚は、必ずしも一致しない

歯科専門家と一般の人々では、笑顔の美しさに対する評価が異なる場合があることが明らかになりました。

特に興味深いのは、その傾向が国によって異なった点です。

  • ポルトガルでは、歯科医は一般の人々よりも厳しい評価を下す傾向がありました。
  • 一方、イタリアではそのような傾向は見られず、むしろ歯科医の方が高い評価を与えることもありました。
  • フランスは、その中間的な結果を示しました。

これは患者さんにとって、非常に心強い発見です。歯科医が教科書的に「理想」とする形と、あなたが個人的に「素敵」と感じる形は、常に同じとは限りません。あなた自身の美的感覚は、専門家の意見と同じくらい尊重されるべきものなのです。審美歯科治療のゴールは、誰かの決めた「完璧な笑顔」を作ることではなく、あなたにとっての「理想の笑顔」を一緒に見つけること。だからこそ、治療の前にしっかりとコミュニケーションを取ることが何よりも大切なのです。

ポイント3:美的感覚は性別で変わるが、年齢ではあまり変わらない

評価する人の性別は判断に影響を与えることがありましたが、年齢の影響は限定的であるという、直感に反する結果が出ました。

この研究では、美的感覚と個人の背景との関係も調査されました。驚くべきことに、フランスの一般の人々の間では、性別による評価の違いが顕著に現れました。そして、一般的なイメージとは逆に、男性の方が女性よりも笑顔の魅力に対して批判的な評価を下す傾向があったのです。

一方で、さらに意外だったのは年齢の影響です。私たちが想像しがちな「世代間のギャップ」は、笑顔の美しさの評価においてはほとんど見られませんでした。唯一の例外はイタリアの一般の人々のグループで、45歳以上の参加者の方が特定の笑顔に対して寛容で、より魅力的だと評価する傾向が見られただけでした。人の美的感覚は、年齢よりも文化や性別といった要因に、より強く形作られているのかもしれません。

結論:あなたの理想の笑顔は、チームで作り上げるもの

この記事で見てきたように、美しい笑顔の認識は、歯の先端にあるわずかな隙間の形といった繊細なディテールや、それを見る人の専門性、国、性別といった多様な要因に影響されます。

歯科医として、この研究結果は私が日々の診療で感じていることを裏付けてくれました。それは、最も成功し、患者さんに喜んでいただける審美治療は、私たちがチームとして協力するときに生まれるということです。

この「隙間」の秘密を知った今、あなたの理想の笑顔はどのようなものでしょうか?そのイメージを、ぜひ担当の歯科医に話してみてください。専門家との対話を通じて、あなただけの最高の笑顔を一緒に作り上げていくことができるはずです。


【動画で知りたい方はこちら↓】(一部読み方がおかしい部分がありますが内容は正確です)

引用)
Fermeiro M, Costa LG, Manso MC, Herrero-Climent M, Gil J, Brizuela-Velasco A, Ribeiro P. Influence of Incisal Embrasures on Smile Aesthetics. J Clin Exp Dent. 2025 Sep 1;17(9):e1129-e1138. doi: 10.4317/jced.62981. PMID: 41064782; PMCID: PMC12502746.

院長紹介

院長

Tatsuya Aoyama

皆さま、こんにちは。私たちの歯科医院では、患者さま一人ひとりに寄り添い、最適な治療を提供することを目指しています。
精密な技術と設備を活用し、痛みの少ない治療を心掛けています。また、審美治療やインプラント、メインテナンス、訪問診療、抗加齢医学的栄養療法など、幅広いニーズに対応できる専門的なケアを提供しております。皆さまの笑顔を守り、健康的で美しい歯を維持するお手伝いをさせていただきます。お気軽にご相談ください。

略歴

H6年3月
宮崎県立延岡高校卒業
H12年4月
国立徳島大学 歯学部歯学科卒業
H12年5月
歯科医師免許証取得
H12-15年
インプラントセンター、予防歯科医院など3件で勤務
H15年7月
瑞の木会 ローズタウン歯科入社
H22年2月
ローズタウン歯科クリニック 継承
H31年4月
医療法人 地天泰 理事長 就任

所属

  • 日本歯周病学会(歯周病)
  • 日本口腔インプラント学会(インプラント)
  • 日本顕微鏡歯科学会(マイクロスコープ)
  • International Team for Implantology(ITI) member(インプラント)
  • 日本抗加齢医学会(アンチエイジング)
  • 日本分子状水素医学生物学会(アンチエイジング)
  • 日本アライナー矯正歯科研究会(マウスピース矯正)
  • Er-YAGレーザー臨床研究会(レーザー)
  • 日本口腔検査学会
  • 浦安市歯科医師会
  • 千葉県歯科医師会
  • 日本歯科医師会
  • 学校歯科医会

資格

歯科医師、日本抗加齢医学会専門医、ITIセクションジャパンインプラントスペシャリスト認定医