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歯の喪失/欠損/修復補綴

院長のとっておきの話 その9 歯を1本失うだけで全身に影響が? あなたの知らない「歯と健康」の驚くべき新常識

失った歯、一本だけと軽く考えていませんか?

歯を1本失うことは、見た目の問題や、食事が少し不便になるだけ。多くの方がそう考えているかもしれません。しかし、その一本が、あなたの全身の健康を揺るがす最初のサインだとしたらどうでしょうか。

最新の研究では、歯の喪失が単なる口の問題にとどまらず、心臓病、認知症、さらにはがんのリスクにまで関連する、全身の健康状態を示す重要なサインであることが明らかになってきました。この記事では、公衆衛生歯科医の視点から、歯を失うことの知られざる影響と、あなたの健康を守るための新常識を分かりやすく解説します。

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本編:歯の喪失が引き起こす、驚くべき4つの影響

1. 重大な病気との予期せぬつながり

歯を失うことの根本原因は、多くの場合、虫歯や歯周病といった口の中の慢性的な炎症です。この「口の中の火事」とも言える状態が、実は血流に乗って全身に広がり、さまざまな重大な病気のリスクを高めていることが分かってきました。

1.1. 心臓病と脳卒中 歯周病や歯の喪失によって引き起こされる慢性的な炎症は、血管の内壁を傷つけ、動脈硬化を促進します。これが、心臓病や脳卒中といった命に関わる病気につながるのです。あるレビュー研究では、驚くべき統計が示されています。

Kramarczyk氏らのレビューで引用されている研究によると、歯を2本失うごとに、冠状動脈性心疾患と脳卒中のリスクが推定3%増加するとされています。

これは、お口の健康管理が心血管系の健康に直結することを示す、非常に重要なデータです。

1.2. 認知機能の低下と認知症 歯周病菌が引き起こす慢性的な炎症は、脳を守る「血液脳関門」というバリアを弱め、脳内にまで炎症を引き起こす可能性があります。近年の研究では、この脳内の炎症が、アルツハイマー病の特徴であるアミロイドβという異常なタンパク質の蓄積に関与する可能性も指摘されています。歯を失うほどの口腔トラブルを放置することが、将来の認知機能にまで影響を及ぼしかねないのです。

1.3. がんリスクの上昇 最も衝撃的な関連性の一つが、がんです。歯の喪失とがんリスクの関係を調べたメタ分析では、以下のような結果が報告されています。(Shi et al.Oncotarget 2018)

  • 全体のがんリスク: 歯を10本失うごとに、全体のがんリスクが9%増加しました。
  • 特定のがん: 特に、食道がん(14%増)、頭頸部がん(31%増)、肺がん(19%増)のリスク増加との関連が指摘されています。

口の中の慢性的な炎症や、特定の細菌が作り出す発がん性物質が、これらのリスクを高める一因と考えられています。

2. 老化を加速させる「オーラルフレイル」の悪循環

「オーラルフレイル」という言葉をご存知でしょうか。これは、歯を失うことなどから始まるお口の機能のささいな衰えが、全身の老化(フレイル)を加速させてしまう現象です。そのメカニズムは、恐ろしい悪循環を描きます。

歯を失うしっかり噛めない柔らかいものばかり食べる栄養が偏る(特にタンパク質不足)全身の筋力が低下(サルコペニア)噛む筋力もさらに低下もっと噛めなくなる

特に注目すべきは「タンパク質不足」です。高齢者は、筋肉の減少(サルコペニア)を防ぐために、健康な成人よりも多くのタンパク質(体重1kgあたり1.0g〜1.2g以上)が必要とされています。しかし、歯を失うことで、肉や魚といったタンパク質が豊富な食品を食べることが難しくなり、この悪循環に拍車がかかるのです。

3. 見た目だけじゃない、心と社会生活への影響

歯の喪失は、私たちの身体だけでなく、心と社会とのつながりにも深く影響します。

  • 生活の質の低下: 歯を失うと、「口腔に関連する生活の質(OHRQoL)」が著しく低下することが多くの研究で示されています。これは、食事を楽しめない、うまく話せないといった直接的な不便さから生じます。
  • 心への影響: 見た目を気にすることによる自尊心の低下、人前で話したり笑ったりすることへの不快感は、社会的な活動への参加をためらわせる原因となります。こうした孤立感は、うつ病のリスクとも関連することが指摘されています。
  • 解決策の存在: ただし、これは決して避けられない問題ではありません。日本人高齢者を対象とした研究では、入れ歯などの義歯を適切に使用することで、健康に関連する生活の質(HRQoL)が改善されることが示されています。適切な対処をすれば、失われた機能や自信を取り戻すことは可能なのです。

4. どの歯を失うかが重要?前歯と奥歯の意外な違い

すべての歯の喪失が、同じ影響をもたらすわけではありません。失った歯の「場所」によって、影響の出方が異なることが分かってきました。

  • 前歯の喪失: 主に見た目や発音に影響し、「口腔に関連する生活の質(OHRQoL)」、つまり心理的な快適さや社会的な側面に大きなダメージを与えます。人とのコミュニケーションに直接関わるため、精神的な影響が強く現れる傾向があります。
  • 奥歯の喪失: 主に噛む機能に影響を与えます。これにより栄養摂取が困難になるだけでなく、驚くべきことに「自己評価による全身の健康状態」とより強く関連していました。これは、しっかり噛めるという機能が、自分自身の全身の健康を実感する上で、いかに重要かを示唆しています。

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結論:お口の健康は、全身の健康を映す鏡です

歯を1本失うことは、単なる不便さではありません。それは、心臓病や認知症といった重大な病気のリスク、老化のスピード、そして精神的な幸福にまで影響を及ぼす、あなたの「全身の健康指標」なのです。

定期的な歯科検診は、単なる虫歯チェックではありません。それは、あなたの全身の健康を守るための第一歩なのです。

【動画で知りたい方はこちら↓】(一部読み方がおかしい部分がありますが内容は正確です)

引用)

Harris S, DePalma J, Barkoukis H. Protein and Aging: Practicalities and Practice. Nutrients. 2025 Jul 28;17(15):2461. doi: 10.3390/nu17152461. PMID: 40806046; PMCID: PMC12348035.

Hoshi-Harada M, Takeuchi K, Kusama T, Aida J, Egusa H, Osaka K. Removable partial denture, complete denture, and fixed partial denture use and health-related quality of life among older adults with tooth loss: A JAGES cross-sectional study. J Prosthodont Res. 2025 Jun 24. doi: 10.2186/jpr.JPR_D_24_00286. Epub ahead of print. PMID: 40571606.

Sahab L, Newton JT, Sabbah W. Oral Health and Healthy Ageing: A Systematic Review of Longitudinal Studies. Dent J (Basel). 2025 Jul 4;13(7):303. doi: 10.3390/dj13070303. PMID: 40710148; PMCID: PMC12293620.

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Kramarczyk K, Skowron K, Skowron P, Kaczmarzyk T. The multifaceted impact of missing teeth on general health: A narrative review. Folia Med Cracov. 2024 Jun 30;64(1):25-37. doi: 10.24425/fmc.2024.150139. PMID: 39254579.

院長紹介

院長

Tatsuya Aoyama

皆さま、こんにちは。私たちの歯科医院では、患者さま一人ひとりに寄り添い、最適な治療を提供することを目指しています。
精密な技術と設備を活用し、痛みの少ない治療を心掛けています。また、審美治療やインプラント、メインテナンス、訪問診療、抗加齢医学的栄養療法など、幅広いニーズに対応できる専門的なケアを提供しております。皆さまの笑顔を守り、健康的で美しい歯を維持するお手伝いをさせていただきます。お気軽にご相談ください。

略歴

H6年3月
宮崎県立延岡高校卒業
H12年4月
国立徳島大学 歯学部歯学科卒業
H12年5月
歯科医師免許証取得
H12-15年
インプラントセンター、予防歯科医院など3件で勤務
H15年7月
瑞の木会 ローズタウン歯科入社
H22年2月
ローズタウン歯科クリニック 継承
H31年4月
医療法人 地天泰 理事長 就任

所属

  • 日本歯周病学会(歯周病)
  • 日本口腔インプラント学会(インプラント)
  • 日本顕微鏡歯科学会(マイクロスコープ)
  • International Team for Implantology(ITI) member(インプラント)
  • 日本抗加齢医学会(アンチエイジング)
  • 日本分子状水素医学生物学会(アンチエイジング)
  • 日本アライナー矯正歯科研究会(マウスピース矯正)
  • Er-YAGレーザー臨床研究会(レーザー)
  • 日本口腔検査学会
  • 浦安市歯科医師会
  • 千葉県歯科医師会
  • 日本歯科医師会
  • 学校歯科医会

資格

歯科医師、日本抗加齢医学会専門医、ITIセクションジャパンインプラントスペシャリスト認定医