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歯を白くする方法:ホワイトニングとセラミック治療の比較
誰もが白い歯に憧れますが、忙しい毎日の中で歯科医院に行く時間を作るのは難しいかもしれません。ここでは、歯を白くする2つの代表的な方法である「ホワイトニング(漂白)」と「セラミック治療(特に歯をほとんど削らずに貼り付けるノンプレップベニア)」について、わかりやすく解説します。
それぞれの特徴やメンテナンスの違い、色の変化についてまとめたうえで、最新の研究に基づく「加齢による歯の色変化」や「歯の白さが見た目の印象に与える影響」についても考察します。ぜひ、ご自身の歯を白くする方法を選ぶ際の参考にしてください。
1. ホワイトニングで歯を白くする
ホワイトニングとは、専用の薬剤を使って歯の内部にある色素を分解し、歯そのものの色を明るく漂白する方法です。歯科医院で行う「オフィスホワイトニング」と、自宅で行う「ホームホワイトニング」があり、どちらも歯を削らずに白くできるというメリットがあります。
1-1. メリットとデメリット
- メリット:
- 歯を削らずに済む
- 比較的短期間で効果が出やすい
- 自分の歯本来の質感を保てる
- デメリット:
- 個人差がある(思うほど白くならない場合も)
- 一時的に知覚過敏(冷たいものがしみる等)が起こることがある
- 時間の経過とともに色が戻りやすく、継続的なメンテナンスが必要
1-2. メンテナンスと注意点
ホワイトニング後の白さを保つには、色素の濃い飲食物(コーヒー・紅茶・赤ワインなど)を控える、喫煙を避けるといった生活習慣の見直しが大切です。数か月から1年ごとに追加のホワイトニングやクリーニングを行うと、より効果を長持ちさせられます。
もしホワイトニングの効果が十分に得られなかった場合や、より短期間で大きく色を変えたい場合には、次に紹介するセラミックベニアの選択肢を検討してみるのも良いでしょう。
2. セラミックベニアで歯を白くする
セラミック治療(ラミネートベニア)は、歯の表面に薄いセラミックの板を貼り付け、色や形を整える方法です。最近注目されているのが、歯をほとんど削らずに済む「ノンプレップベニア」。これは歯へのダメージが少なく、自然な色合いと艶(つや)を得られるメリットがあります。
2-1. ノンプレップベニアの特徴
- メリット:
- 歯を削る量がごくわずか、あるいはまったく削らない場合もある
- セラミックは色が安定しており、経年で変色しにくい
- 表面が滑らかで汚れが付きにくい(後述のジルコニアベニアも含む)
- デメリット:
- いったん装着するとやり直しが難しい
- 治療費が比較的高額
2-2. セラミックベニアのメンテナンスと注意点
セラミックベニアは素材自体が変色しにくく、汚れを落としやすい特徴があります。ただし、接着部分の境目や歯ぐき付近にプラークが溜まると炎症を起こす可能性があるため、毎日の丁寧な歯磨きと定期検診は欠かせません。硬い物を無理にかじると割れるリスクもありますが、適切に使えば10年以上問題なく機能する例も珍しくありません。
3. ノンプレップジルコニアベニアの衛生面でのメリット
セラミックの中でも近年特に注目されているのが、強度と美しさを兼ね備えたジルコニアです。ジルコニアを薄く成形したベニアを歯の表面に貼る「ノンプレップジルコニアベニア」は、歯をほとんど削らずに済むうえに汚れが付きにくい衛生面でのメリットが期待できます。
3-1. ジルコニア表面のプラーク付着性の低さ
金属の被せ物と比べて、ジルコニアは表面が非常に滑らかで、細菌やプラーク(歯垢)が付きにくいとされています[1,2]。実際に、口腔内にチタン(金属)とジルコニアのディスクを取り付けてプラークの付着量を測定した研究では、ジルコニアの方が有意に付着量が少なかったという結果が示されています[1]。
また、インプラントの土台(アバットメント)をジルコニア素材にした場合、金属や天然歯と比較してもプラークの量が少ないとの報告もあります[2]。これは、ジルコニア特有の表面構造が細菌の付着を抑制しているためと考えられています。
3-2. 忙しい方にもやさしい管理のしやすさ
ジルコニアベニアのようにプラークが付きにくい素材であれば、日々のブラッシングやフロスの使用だけでも清潔な状態を保ちやすいです。仕事や家事などで多忙な方にとっても、メンテナンスの負担が軽減されるのは大きなメリットでしょう。
もっとも、まったく汚れが付かないわけではないので、定期的な歯科医院でのクリーニングや正しい歯磨き指導は依然として重要です。素材だけに頼るのではなく、適切な口腔ケアを続けることで、長期にわたって美しい白い歯をキープできます。
4. 加齢による上顎前歯の明度・彩度の変化
歳を重ねると、歯の色が少しずつ黄ばんで暗くなると感じている方も多いでしょう。近年の研究でも、加齢とともに歯の明度(明るさ)が低下し、彩度(色の濃さ)が増加する傾向が報告されています[3,4]。
4-1. 加齢で歯が黄ばむメカニズム
エナメル質という歯の表面の透明層が摩耗して薄くなることで、内側の象牙質(少し黄みを帯びた組織)が透けやすくなると考えられています。また、生活習慣による着色汚れの蓄積や、唾液量の減少なども影響する可能性があります。
4-2. 若い年齢層ほど歯が明るい統計
別の調査では、若年層ほど明るい歯色で、高齢層ほど濃い歯色が多いという結果が出ています[4]。これは個人差があるものの、大まかなトレンドとしては年齢を重ねるにつれて自然と歯が黄ばんでいきやすいと言えます。
5. 歯の明度低下が与える審美的印象の変化
歯の色が黄ばんで暗くなると、見た目の印象にも影響を与えます。研究によれば、歯の色を加工した写真を提示して第三者に評価してもらったところ、黄ばんだ歯は「清潔感」「若々しさ」「好感度」の全てで評価が下がるという結果が得られています[5,6]。
5-1. 白い歯がもたらすポジティブな効果
- 若々しい印象を与える
- 健康的・清潔感があると見られやすい
- 自信を持って笑顔になりやすく、コミュニケーション面でも好影響
反対に、歯が暗いと実際よりも年齢を高く見られたり、不健康なイメージを持たれる可能性があります。こうした印象の違いは、ビジネスシーンやプライベートなどさまざまな場面で影響を与えかねません。
6. まとめ:白い歯で笑顔に自信を
ホワイトニングとセラミック治療は、どちらも歯を白く美しくするための有効な方法です。ホワイトニングは歯を削らずに手軽に始められ、セラミックベニアは長期的に安定した白さを保持できるという利点があります。
特にノンプレップベニアは歯への負担が軽く、ジルコニア素材ならプラークが付きにくく清潔に保ちやすいため、多忙な方にもおすすめです。
加齢による歯の色の変化が気になる方も、まずは歯科医院で相談してみましょう。自分の歯の状態やライフスタイルに合った方法を提案してもらうことで、自然で美しい笑顔を取り戻すことができます。白い歯になれば、鏡を見るたびに気分が上がり、人前で思いきり笑うことが楽しくなるでしょう。ぜひこの機会に行動を起こして、一歩踏み出してみてください。
本記事が、歯を白くする方法を検討するうえでの一助となりましたら幸いです。ご質問や不安な点がありましたら、ぜひお気軽に歯科医院へご相談ください。
参考文献
- Scarano A, Piattelli M, Caputi S, Favero GA, Piattelli A. Bacterial adhesion on commercially pure titanium and zirconium oxide disks: an in vivo human study. J Periodontol. 2004;75(2):292-6.
- Silva NRFA, Sailer I, Zhang Y, Coelho PG, Guess PC, Zembic A, et al. Performance of Zirconia for Dental Healthcare. Materials. 2010;3(2):863-896.
- Hassel AJ, Johanning M, Grill S, Schröder J, Wahl HW, Corcodel N, et al. Changes of tooth color in middle and old age: a longitudinal study over a decade. J Esthet Restor Dent. 2017;29(6):459-463.
- Joiner A. Tooth colour: a review of the literature. J Dent. 2004;32 Suppl 1:3-12.
- Montero J, Gómez-Polo C, Santos JA, Portillo M, Lorenzo MC, Albaladejo A. Contributions of dental colour to the physical attractiveness stereotype. J Oral Rehabil. 2014;41(10):768-782.
- Newton JT, Subramanian SS, Westland S, Gupta AK, Luo W, Joiner A. The impact of tooth colour on the perceptions of age and social judgements. J Dent. 2021;112:103771.