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院長のとっておきの話 その100 全身の不調、原因はビタミン不足? 論文が解き明かす口・肌・甲状腺の意外な関係

1. はじめに:その口内炎、ただの疲れだと思っていませんか?

繰り返す口内炎、原因がよくわからない肌荒れ、そして、なんとなく続く倦怠感。多くの人が一度は経験するこれらのありふれた不調を、「仕事が忙しいから」「最近、少し疲れているだけ」と片付けてはいないでしょうか。

しかし、もしこれらの無関係に見える症状が、実は「ビタミンB12とビタミンDの不足」という一つの共通した原因で結びついているとしたらどうでしょう。最近発表されたある研究論文(Tagore PK, et al.)は、まさにその可能性を指摘し、私たちの体のサインを読み解く新たな視点を提供してくれます。この記事では、その興味深い研究内容を分かりやすく解説していきます。

2. この記事がもとにした研究の概要

この記事で解説するのは、私たちの体におけるビタミンB12とビタミンDの重要性を調査した科学的な研究です。この研究では、20歳から50歳までの人々を対象に、以下の2つのグループを設定して比較分析を行いました。

  • ビタミンB12とビタミンDの両方が不足している100人のグループ
  • ビタミンレベルが正常な健康な100人のグループ(対照群)

研究チームは、これら2つのグループの口腔状態、皮膚、甲状腺機能、そして肺機能などを詳細に比較し、ビタミン不足が体にどのような影響を及ぼすのかを統計的に調査しました。特に、神経や粘膜の健康を支えるビタミンB12と、免疫機能の調整役であるビタミンDが、どのように連携して私たちの体に影響を与えているのかを解き明かそうとしました。

3. 論文が明らかにした4つの驚くべき事実

この研究から、特に重要で意外性のある4つの事実が明らかになりました。

3.1. 最も顕著なサインは「お口のトラブル」:再発性アフタ性潰瘍(口内炎)と灼熱感

歯科医院の視点からも非常に興味深いことに、ビタミン不足の最も顕著なサインは口腔内に現れていました。

  • 再発性アフタ性潰瘍(口内炎): ビタミン不足のグループでは42%の人に見られたのに対し、健康なグループでは15%でした。
  • 灼熱感(バーニングマウス症-候群): ビタミン不足のグループでは35%に見られましたが、健康なグループでは10%に留まりました。

どちらの症状も、ビタミン不足のグループで発生率が著しく高いことが分かります。論文の考察によれば、ビタミンB12は神経の正常な機能を維持し、口の中の粘膜を健康に保つために不可欠です。このビタミンが不足すると、粘膜の修復が遅れたり、神経に異常が生じたりして、口内炎や原因不明の灼熱感を引き起こしやすくなるのです。

3.2. 肌にも現れるサイン:色素沈着と乾癬(かんせん)

ビタミン不足のサインは、お口の中だけでなく皮膚にも現れます。

  • 色素沈着: ビタミン不足のグループでは26%に見られましたが、健康なグループでは8%でした。
  • 乾癬(かんせん): ビタミン不足のグループでは14%に見られ、健康なグループの5%よりも高い割合でした。

研究によれば、ビタミンB12の不足はメラニン(色素)の生成に影響を及ぼし、色素沈着の一因となることが示唆されています。また、免疫調整機能を持つビタミンDは皮膚細胞の正常な増殖や分化を調節する役割を担っており、不足すると乾癬やアトピー性皮膚炎、湿疹のような炎症性の皮膚疾患のリスクが高まる可能性が指摘されています。

3.3. 全身の倦怠感の陰に:甲状腺機能低下症との関連

多くの人が悩む「疲れやすさ」や「だるさ」。その背景には、時に免疫システムの暴走が関わっていることがあります。この研究では、ビタミン不足と甲状腺機能の間に衝撃的な関連が見つかりました。

  • 甲状腺機能低下症: ビタミン不足のグループでは、実に38%の人がこの症状を持っていましたが、健康なグループでは12%でした。

甲状腺機能低下症は、体の新陳代謝をコントロールする甲状腺ホルモンの分泌が減る病気で、強い倦怠感や無気力感を引き起こします。論文では特にビタミンDの役割が重視されており、ビタミンDは免疫システムを適切に調整する機能を持つため、不足すると自己免疫疾患のリスクが高まり、橋本病のように甲状腺自身を攻撃してしまう事態に繋がる可能性があると考察されています。

3.4. 呼吸にも影響が? 見過ごされがちな肺機能の低下

ビタミン不足の影響は、呼吸器系というさらに意外な場所にまで及んでいました。

  • 肺機能の低下: ビタミン不足のグループでは30%の人に肺機能の低下が見られましたが、健康なグループでは9%でした。

ビタミンDの不足が免疫機能の低下を介して呼吸器感染症のリスクを高めることは以前から知られていましたが、この研究は、喘息の悪化や慢性閉塞性肺疾患(COPD)との関連も示唆しており、ビタミン不足が肺の基本的な機能そのものにも影響を与えている可能性を示しています。

4. まとめ:体からのサインを見逃さないために

今回ご紹介した研究は、繰り返す口内炎、肌の不調、原因不明の倦怠感、そして呼吸器の問題といった、一見するとバラバラに見える症状が、「ビタミンB12とビタミンDの不足」という共通の土台の上で繋がっている可能性を明確に示しました。

体は、様々な形で私たちにサインを送っています。あなたのその不調、もしかしたら体からの栄養不足を知らせる大切なサインなのかもしれませんね。もし気になる症状が続く場合は、まず専門の医療機関に相談し、適切な診断を受けることが重要です。論文が示唆するように、原因がビタミン不足であると分かれば、的確な指導のもとでの栄養改善やサプリメントの活用が、つらい症状を和らげる鍵となるかもしれません。

【動画で知りたい方はこちら↓】(一部読み方がおかしい部分がありますが内容は正確です)


引用)
Tagore PK, Harit P, Sachan MK, Bharti MK, Singh P, Harit G. Effect of Vitamins B12 and D Deficiency in Thyroid, Skin, Oral, and Respiratory Disease. J Pharm Bioallied Sci. 2025 Jun;17(Suppl 2):S1749-S1751. doi: 10.4103/jpbs.jpbs_300_25. Epub 2025 Jun 18. PMID: 40655703; PMCID: PMC12244917.

院長紹介

院長

Tatsuya Aoyama

皆さま、こんにちは。私たちの歯科医院では、患者さま一人ひとりに寄り添い、最適な治療を提供することを目指しています。
精密な技術と設備を活用し、痛みの少ない治療を心掛けています。また、審美治療やインプラント、メインテナンス、訪問診療、抗加齢医学的栄養療法など、幅広いニーズに対応できる専門的なケアを提供しております。皆さまの笑顔を守り、健康的で美しい歯を維持するお手伝いをさせていただきます。お気軽にご相談ください。

略歴

H6年3月
宮崎県立延岡高校卒業
H12年4月
国立徳島大学 歯学部歯学科卒業
H12年5月
歯科医師免許証取得
H12-15年
インプラントセンター、予防歯科医院など3件で勤務
H15年7月
瑞の木会 ローズタウン歯科入社
H22年2月
ローズタウン歯科クリニック 継承
H31年4月
医療法人 地天泰 理事長 就任

所属

  • 日本歯周病学会(歯周病)
  • 日本口腔インプラント学会(インプラント)
  • 日本顕微鏡歯科学会(マイクロスコープ)
  • International Team for Implantology(ITI) member(インプラント)
  • 日本抗加齢医学会(アンチエイジング)
  • 日本分子状水素医学生物学会(アンチエイジング)
  • 日本アライナー矯正歯科研究会(マウスピース矯正)
  • Er-YAGレーザー臨床研究会(レーザー)
  • 日本口腔検査学会
  • 浦安市歯科医師会
  • 千葉県歯科医師会
  • 日本歯科医師会
  • 学校歯科医会

資格

歯科医師、日本抗加齢医学会専門医、ITIセクションジャパンインプラントスペシャリスト認定医