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院長のとっておきの話 その75 そのマグネシウム、本当に効いてる?最新研究が明かす「賢い選び方」と4つの驚くべき真実

序論:マグネシウムのパラドックス

近年、ストレス軽減、睡眠の質向上、筋肉の健康維持など、さまざまな健康効果を期待してマグネシウムのサプリメントを摂取する人が増えています。しかし、その効果を本当に実感できているでしょうか?

マグネシウムは、体内で600種類以上の酵素反応に関わる非常に重要なミネラルです。それにもかかわらず、多くの人が知らず知らずのうちに不足しがちという「マグネシウム・パラドックス」が存在します。さらに問題を複雑にしているのは、一般的な血液検査では体内の真のマグネシウムレベルを正確に把握できないという事実です。体内のマグネシウムのうち、血液中に存在するのはわずか1%に過ぎないからです。

この記事では、2025年に発表されたマグネシウムに関する大規模な系統的レビューとメタ分析から明らかになった、最も重要で驚くべき4つの真実を解説します。これを読めば、より賢明なサプリメント選びができるようになるでしょう。

1. 血液検査ではわからない?「隠れマグネシウム不足」のワナ

マグネシウムの状態を正確に評価することは、専門家にとっても難しい課題です。その最大の理由は、体内のマグネシウムの大部分(99%)が骨や筋肉、軟部組織に蓄えられているためです。

血液中のマグネシウム濃度を測定する標準的な血清検査は、体全体の貯蔵量を正確に反映しない可能性があります。つまり、血液検査の結果が「正常」であっても、細胞レベルではマグネシウムが不足している「隠れマグネシウム不足」の状態に陥っている可能性があるのです。このため、なんとなく不調を感じているけれど原因がわからないという場合、マグネシウムの不足が関係していることも考えられます。

2. 「とりあえず酸化マグネシウム」は間違い?吸収率で選ぶべき理由

マグネシウムサプリメントを選ぶ上で最も重要なのは、その「生物学的利用能(バイオアベイラビリティ)」です。これは、摂取したマグネシウムのうち、実際に体内に吸収され、利用される割合を指します。サプリメントの種類によって、この吸収率には大きな差があります。

  • 有機酸マグネシウム(クエン酸、グリシン酸など): これらの形態は水に溶けやすく、一般的に吸収率が高いとされています。特にグリシン酸マグネシウムは消化器系への負担が少なく、胃腸が敏感な人にも推奨されることが多い形態です。不足したマグネシウムを効率的に補いたい場合には、これらの種類が適しています。
  • 無機塩マグネシウム(酸化マグネシウムなど): 酸化マグネシウムは、安価で多くの製品に使われていますが、水に溶けにくく吸収率が低いという特徴があります。そのため、体内のマグネシウムレベルを上げる目的よりも、便秘の短期的な緩和といった目的で使われることが主です。

結論として、マグネシウム不足を補うという目的のためには、サプリメントの「形態」が極めて重要です。クエン酸マグネシウムやグリシン酸マグネシウムのような、吸収率の高い形態を選ぶことが、効果を実感するための鍵となります。

3. 抗酸化より「抗炎症」?科学が証明したマグネシウムの確かな効果

マグネシウムには多くの健康効果が期待されていますが、今回のメタ分析で最も強力な科学的証拠が示されたのは「抗炎症作用」でした。

分析の結果、マグネシウムの補給によって、体内の炎症レベルを示す主要な血液マーカーである「C反応性タンパク(CRP)」が統計的に有意に減少することが明らかになりました。

慢性的な炎症は、心血管疾患や糖尿病など、多くの生活習慣病の引き金となることが知られています。この研究結果は、マグネシウムが体内の炎症を調節する上で具体的な役割を果たしていることを示しており、非常に重要な発見と言えるでしょう。

4. 「抗酸化力アップ」は本当?研究が示す意外な結論

マグネシウムは体内の抗酸化酵素の働きを助けるため、「抗酸化力を高める」としばしば言われます。しかし、今回のメタ分析では、直感に反する意外な結論が示されました。

複数の研究データを統合して分析した結果、マグネシウムの補給が、酸化ストレスの代表的な指標(MDA、GSH、TACなど)に対して、決定的または有意な影響を与えなかったことがわかりました。

これは「マグネシウムに抗酸化作用が全くない」という意味ではありません。しかし、少なくともこの大規模な分析においては、「特定の酸化ストレスマーカーを直接改善する効果は確認できなかった」あるいは「効果は不明確である」ということが示されたのです。これは、サプリメントの効果を科学的根拠に基づいて冷静に評価する上で、非常に重要な視点です。

結論:サプリメント摂取のより賢いアプローチ

最新の研究が示すように、マグネシウムサプリメントをただ摂取するだけでは、その恩恵を最大限に受けることはできません。重要なのは、目的に応じて適切な種類(形態)を選ぶことです。

今回の記事のポイントをまとめます。

  • 血液検査だけでは本当のマグネシウムレベルはわからない。
  • マグネシウム不足を補うなら、酸化マグネシウムよりも吸収率の高いクエン酸やグリシン酸マグネシウムが効果的。
  • マグネシウムの最も科学的に証明された効果の一つは、体内の炎症を抑えること。

最後に、むやみなサプリメント摂取は誰にとっても無害というわけではありません。過剰摂取は特定の薬(抗生物質や利尿薬など)と相互作用を起こす可能性もあります。サプリメントの摂取を始める前には、必ず医師や専門家に相談し、自分自身のニーズに合った適切な選択をすることが賢明です。


【動画で知りたい方はこちら↓】(一部読み方がおかしい部分がありますが内容は正確です)

引用)
Cepeda V, Ródenas-Munar M, García S, Bouzas C, Tur JA. Unlocking the Power of Magnesium: A Systematic Review and Meta-Analysis Regarding Its Role in Oxidative Stress and Inflammation. Antioxidants (Basel). 2025 Jun 16;14(6):740. doi: 10.3390/antiox14060740. PMID: 40563371; PMCID: PMC12189353.

院長紹介

院長

Tatsuya Aoyama

皆さま、こんにちは。私たちの歯科医院では、患者さま一人ひとりに寄り添い、最適な治療を提供することを目指しています。
精密な技術と設備を活用し、痛みの少ない治療を心掛けています。また、審美治療やインプラント、メインテナンス、訪問診療、抗加齢医学的栄養療法など、幅広いニーズに対応できる専門的なケアを提供しております。皆さまの笑顔を守り、健康的で美しい歯を維持するお手伝いをさせていただきます。お気軽にご相談ください。

略歴

H6年3月
宮崎県立延岡高校卒業
H12年4月
国立徳島大学 歯学部歯学科卒業
H12年5月
歯科医師免許証取得
H12-15年
インプラントセンター、予防歯科医院など3件で勤務
H15年7月
瑞の木会 ローズタウン歯科入社
H22年2月
ローズタウン歯科クリニック 継承
H31年4月
医療法人 地天泰 理事長 就任

所属

  • 日本歯周病学会(歯周病)
  • 日本口腔インプラント学会(インプラント)
  • 日本顕微鏡歯科学会(マイクロスコープ)
  • International Team for Implantology(ITI) member(インプラント)
  • 日本抗加齢医学会(アンチエイジング)
  • 日本分子状水素医学生物学会(アンチエイジング)
  • 日本アライナー矯正歯科研究会(マウスピース矯正)
  • Er-YAGレーザー臨床研究会(レーザー)
  • 日本口腔検査学会
  • 浦安市歯科医師会
  • 千葉県歯科医師会
  • 日本歯科医師会
  • 学校歯科医会

資格

歯科医師、日本抗加齢医学会専門医、ITIセクションジャパンインプラントスペシャリスト認定医