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院長のとっておきの話 その12 あなたの知らない「マグネシウム」の驚くべき5つの力
日々の疲れがとれない、ストレスや不安を感じやすい、夜なかなか寝付けない…このような悩みを抱えていませんか?実はこれらの一般的な健康問題は、歯科医院での不安感につながったり、お口全体の健康状態に影響を与えたりすることがあります。

この記事では、そんな悩みを解決するかもしれない「隠れた英雄」、マグネシウムに焦点を当てます。このありふれたミネラルには、最新の科学研究によって明らかになった、心と体、そしてお口の健康に対する驚くべき力が秘められています。今回は、その中でも特に重要な5つの力をご紹介します。

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1. 歯科治療の痛みを和らげる?麻酔の効果を高める隠れたサポーター
「歯科治療の痛みはミネラルで和らげることができる」と言われたら、驚くかもしれません。しかし、最新の研究がマグネシウムのそんな可能性を示唆しています。
親知らずの抜歯のような外科手術後、経口マグネシウムを摂取したグループは、摂取しなかったグループに比べて、術後24時間、48時間、72時間のいずれの時点でも痛みのスコアが大幅に低いという結果が出ました。単なるミネラルが、術後の不快感を和らげる手助けをするというのは驚くべき発見です。

さらに、マグネシウムは局所麻酔の効果そのものを高める力も秘めています。重度の虫歯(不可逆性歯髄炎)で神経の治療が必要な場合、「麻酔が効きにくいのでは」と心配される方も少なくありません。しかし、下顎の神経ブロック麻酔に硫酸マグネシウムを追加したところ、麻酔の成功率が大幅に向上し、処置1時間後の痛みも軽減されることがわかりました。これは、痛みが強い治療への不安を抱える患者さんにとって画期的な知見です。
2. 歯周病を予防し、丈夫な顎の骨を支える縁の下の力持ち
マグネシウムは、歯を支える土台である歯槽骨(顎の骨)や歯周組織の健康維持に不可欠なミネラルです。歯を支える顎の骨を家に例えるなら、マグネシウムはその土台を固めるセメントのようなものです。その重要性は、具体的な研究データにも表れています。

- 血中のマグネシウム/カルシウム比率が高いほど、歯周ポケットの深さが浅く、歯茎の付着損失(歯が歯茎から剥がれていく状態)が少ないことが示されています。
- マグネシウムレベルが高い人ほど、残っている歯の本数が多い傾向にあります。
- ある研究では、食事からのマグネシウム摂取量が最も多いグループは、最も少ないグループに比べて歯周炎になる確率が31%も低いことが判明しました。

この役割は、顎の骨だけでなく全身の骨の健康にもつながっています。マグネシウムは体全体の骨密度を維持し、骨粗しょう症のリスクを低減する上で重要な働きを担っているのです。

3. ストレス、不安、睡眠の質… 心の健康もサポート

マグネシウムは、精神的な健康を支える上でも重要な役割を果たします。まず、マグネシウムは体のストレス応答システム(HPA軸)を調整し、ストレスホルモンであるコルチゾールのレベルを調節するのを助けます。実際に、マグネシウム不足はうつ病や不安症状の有病率の高さと関連していることが指摘されています。
では、なぜマグネシウムにこのような効果があるのでしょうか。
マグネシウムは、興奮性の神経伝達を抑え、抑制性の神経伝達を促進することで、ストレス応答経路と神経伝達物質のバランスを調整する働きがあると考えられています。

簡単に言えば、神経系の過剰な興奮を鎮め、リラックスした状態を保つのに役立つのです。この神経を落ち着かせる働きは、歯科治療への不安を和らげるだけでなく、ストレスが原因となる歯ぎしり(ブラキシズム)の軽減にも繋がる可能性があります。
この働きは睡眠にも良い影響を与えます。観察研究では、マグネシウムの摂取量が多いほど、睡眠時間が長く、夜中に目覚める回数が少ないなど、睡眠の質が高いことが一貫して示されています。
4. 実は男女で違う? PMSからテストステロンまで影響
マグネシウムの必要性やその影響は、性別によって異なる側面があります。
女性はマグネシウムが不足しがちです。その理由の一つとして、女性ホルモンであるエストロゲンが組織でのマグネシウム利用を促進するため、ホルモンバランスの変動がマグネシウムの必要量に影響を与えると考えられています。特に、月経前症候群(PMS)の症状、例えばイライラ、疲労感、気分の落ち込みなどを緩和する上で、マグネシウム補給の有効性が研究されています。PMS期間中のストレスやイライラは、無意識のうちに顎を食いしばったり、日々の丁寧な歯磨きがおろそかになったりする原因にもなりかねません。

一方、男性にとってマグネシウムは、テストステロンのレベルと正の相関関係にあることが示されています。十分なマグネシウムは、筋肉の機能、筋力、身体的パフォーマンスの維持にも不可欠であり、特に活動的な男性にとっては重要な栄養素と言えるでしょう。
5. あなたも「隠れマグネシウム不足」かも?手軽に補う食事のヒント

現代では、加工食品の多量摂取や、土壌のミネラルを減少させる農業の影響で、マグネシウムの摂取量が最適レベルに達していない「隠れマグネシウム不足」の状態が広まっています。では、どうすればこの「隠れた英雄」を食生活にしっかり取り入れられるのでしょうか?
嬉しいことに、マグネシウムが豊富な食品は美味しく、手軽に食生活に取り入れることができます。

- ナッツ類・種子類 (アーモンド、かぼちゃの種など)
- 豆類 (大豆、インゲン豆など)
- 全粒穀物 (玄米、オートミールなど)
- 緑黄色野菜 (ほうれん草など)
食事だけで十分な量を摂るのが難しい場合は、サプリメントも一つの選択肢です。サプリメントを選ぶ際は、体に吸収されやすいクエン酸マグネシウムのような有機塩がおすすめです。一般的に、酸化マグネシウムのような無機塩よりも吸収率が高いとされています。ただし、サプリメントを始める前には、必ず医師や専門家に相談するようにしてください。

| マグネシウムの形態 | 吸収の特徴 | 主なメリットと適した目的 | 注意が必要な点 |
| 酸化マグネシウム (MgO) | 吸収率が低い(体内に取り込まれにくい) | 💊 便秘の改善 (腸内の水分を増やし便を柔らかくする) | 🌊 下痢になりやすい (お腹がゆるくなりやすい) |
| クエン酸マグネシウム | 吸収率が高いとされ、水に溶けやすい | 💧 日常的なマグネシウム補給(胃腸への刺激が少ない) | 💦 一度に多く摂ると下痢になる可能性がある |
| グリシン酸マグネシウム | 非常に高い吸収率が期待される(アミノ酸と結合) | 🌟 長期的な補給、胃腸のトラブルが少ない | 価格が他の形態よりも高めになることが多い |
| 塩化マグネシウム (MgCl₂) | 水に溶けやすく、比較的吸収されやすい | 📈 安定したマグネシウムの補給に向いている | 🧂 少し独特な味(苦味など)を感じることがある |
| L-スレオネート (Magtein®など) | 脳への移行性が期待されている | 🧠 認知機能へのサポートが期待される(動物での研究が中心) | 📝 人間での大規模なエビデンスはまだ少ない |
| 硫酸マグネシウム (MgSO₄) | 吸収よりも下剤としての作用が非常に強い | 🚽 強力な下剤、病院での検査前の清掃に使用 | 🚫 長期間の補給には全く不向き |
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まとめ
マグネシウムは、単なる健康維持のためのミネラルではありません。歯周病の予防から歯科治療の快適性の向上まで、お口の健康において驚くほど重要で多岐にわたる役割を担っています。
日々の食事でこの小さなミネラルを少し意識することが、あなたの笑顔から始まる全身の健康への鍵になるかもしれませんね。

【動画で知りたい方はこちら↓】(一部読み方がおかしい部分がありますが内容は正確です)
