来院者専用ブログ

慢性炎症/歯周病/根尖病変/口腔がん栄養医学/栄養療法/食事/抗加齢

院長のとっておきの話 その36 あなたの食事、実は体を「早老い」させている?最新研究が明かす4つの衝撃的な事実

はじめに:あなたの「本当の年齢」は、食事が決めている?

カレンダー上の年齢にかかわらず、いつまでも健康で若々しくありたいと願うのは、誰もが持つ自然な気持ちです。しかし、私たちの体には「実年齢(暦年齢)」とは別に、細胞や臓器の健康状態を示す「生物学的年齢」というもう一つの年齢があることをご存知でしょうか。

近年の科学研究により、この生物学的年齢は、私たちが日々口にする食事によって驚くほど大きな影響を受けることが明らかになってきました。心臓から脳に至るまで、食事の内容が私たちの体の「本当の年齢」を左右しているのです。

そしてこれから見ていくように、これらの研究からは共通の「犯人」が浮かび上がってきます。それは、体と脳の両方で老化プロセスを密かに加速させる「慢性的な微弱炎症」です。

その老化を加速させる根本的な仕組みの一つが「炎症」です。これは、私たち歯科専門家が常にお口の健康が全身の健康の出発点であると考える際に、最も重視しているプロセスでもあります。

この記事では、食事と老化に関する最新の研究から明らかになった、特に驚くべき4つのポイントを分かりやすく解説していきます。

ポイント1:食事が、あなたの臓器を実年齢より老けさせる

最新の研究は、食事が私たちの臓器の老化スピードに直接影響を与える可能性を示唆しています。研究では、個人の生物学的年齢(BA)と実年齢(CA)の差を「年齢差(Δage)」として評価しました。この数値がプラスであれば、その臓器は実年齢よりも早く老化していることを意味します。

研究の核心的な発見は、「食事性炎症指数(DII)」スコアが高い、つまり炎症を促進しやすい食事を摂っている人ほど、生物学的な老化が加速していたという事実です。研究では心臓、肝臓、腎臓が調査されましたが、この影響は特に心臓と肝臓で一貫して強く証明され、腎臓でも同様の傾向が初期段階で観察されました。

具体的な数値を見ると、その影響は衝撃的です。最も炎症を促進する食事をしていたグループは、最も炎症を抑える食事をしていたグループに比べて、肝臓の生物学的年齢が実年齢を平均で2.86年も上回っていました。心血管系においても、同様に0.87年の上昇が見られました。

「たった数年の差」と侮ってはいけません。このような影響が何年、何十年と積み重なることを想像してみてください。炎症を促進する食生活を続けた場合、あなたが60歳になる頃には、肝臓は75歳相当の機能まで衰えている可能性があり、慢性疾患のリスクを劇的に高めることになりかねないのです。

ポイント2:脳の健康は「タンパク質の種類」で変わる?

タンパク質が体にとって重要であることはよく知られていますが、脳の健康に関しては、単に量を摂るだけでは不十分かもしれません。ある研究では、タンパク質の「種類」が認知機能に異なる影響を与えるという、驚くべき結果が示されました。

研究によると、植物性タンパク質(豆類、ナッツ、全粒穀物など)の摂取量が多いほど、認知機能の評価結果が良好で、その低下速度も緩やかでした。

その一方で、動物性タンパク質の摂取量が多いと、認知機能のより速い低下と関連が見られました。この影響は、特に男性において顕著で、統計的にも有意なものでした。

この発見は、私たちの食生活にとって非常に重要です。長期的な脳の健康を維持するためには、タンパク質を摂取する際に、その供給源を意識的に選ぶこと、例えば動物性タンパク質の一部を植物性のものに置き換えることが、有効な戦略になり得ることを示唆しています。

ポイント3:「食事による炎症」が、老化への近道だった

ここまで見てきた臓器の老化と脳機能の低下。これら二つの現象を結びつける「隠れた共通項」が「食事による炎症」です。

研究で用いられた「食事性炎症指数(DII)」とは、食事の炎症ポテンシャルを評価するスコアリングシステムです。これを食事の炎症作用に対する「温度計」のようなものだと考えてみてください。DIIスコアが高くプラスであれば食事は「ホット」で炎症を煽り、スコアが低くマイナスであれば「クール」で炎症を鎮める助けになります。

二つの研究結果をこの視点から見直してみましょう。

  1. 臓器の老化研究:高いDIIスコアが、心臓と肝臓の生物学的な老化を加速させていました。
  2. 認知機能の研究:高いDIIスコア(より炎症を促進する食事)が、認知機能の低下と関連していました。

つまり、「食事によって引き起こされる慢性的な炎症」こそが、私たちの体と脳の両方で老化プロセスを加速させる共通の経路だったのです。

ポイント4:握力と脳の意外なカンケイ

加齢に伴う筋肉量・筋力の低下(サルコペニア)が、認知機能低下のリスクを高めることが分かっています。この筋肉の喪失は、体全体の炎症レベルを上昇させることで、部分的に認知機能の低下を加速させると考えられており、食事と脳のつながりをさらに強固なものにしています。

しかし、最新の研究はさらに一歩踏み込み、身体能力と脳の健康との間に存在する、直感に反するような興味深い関係性を明らかにしました。研究が発見した最も驚くべき事実は、握力や歩行速度が、食事と認知機能の関係における重要な「媒介因子」として機能していたことです。

「媒介因子」とはどういうことでしょうか。簡単に言えば、健康的な食事が脳に良い影響を与えるプロセスは、一直線ではないということです。食事がまず筋力や身体能力を維持・向上させ、そのことを通じて部分的に脳の健康が守られる、という繋がりがあるのです。

これは、健康を全体的に捉えることの重要性を示しています。筋力を維持することは、単に体を動かすためだけでなく、私たちの思考や記憶を守るための重要な要素でもあるのかもしれません。

まとめ:老化のスピードをゆるめる、今日からできる食事の工夫

この記事で見てきたように、私たちの食事は、主に「炎症」というメカニズムを通じて、臓器、脳、そして筋肉の老化に深く、そして相互に関連し合って影響を与えています。

炎症を抑える健康的な食生活を送ることは、より健やかな加齢のための、科学的根拠に基づいた強力な戦略です。

未来の自分のために、今日から動物性タンパク質の一部を植物性タンパク質に置き換えるなど、食事で一つだけ変えられることは何ですか?

そして忘れないでください。脳から心臓に至るまで、健康な体は、多くの場合、すべての入り口である炎症のない健康な口から始まるのです。

【動画で知りたい方はこちら↓】(一部読み方がおかしい部分がありますが内容は正確です)

引用)
Long L, Cheng J, Zhang Y, Yu P, Li Q, Liu X, Li J. Association of the dietary inflammatory index with multi-organ biological age acceleration. J Health Popul Nutr. 2025 Sep 30;44(1):343. doi: 10.1186/s41043-025-01080-1. PMID: 41029833; PMCID: PMC12487331.

Jin, Y.; Lai, G.; Li, S.; Lee, J.; Chan, V.; Lu, Z.; Leung, J.; Lai, K.; Lam, K.; Auyeung, T.W.; et al. Adhering to Healthy Dietary Patterns Prevents Cognitive Decline of Older Adults with Sarcopenia: The Mr. OS and Ms. OS Study. Nutrients 202517, 3070. https://doi.org/10.3390/nu17193070

Ranjbar Zahedani M, Makhmudov N, Sadikova U, Shateri Z, Amiri SM, Borazjani M, Mahmoodi M, Nouri M. The relationship between dietary inflammatory indices and male infertility: a cross-sectional study. BMC Res Notes. 2025 Nov 17;18(1):484. doi: 10.1186/s13104-025-07554-z. PMID: 41250135; PMCID: PMC12625255.

院長紹介

院長

Tatsuya Aoyama

皆さま、こんにちは。私たちの歯科医院では、患者さま一人ひとりに寄り添い、最適な治療を提供することを目指しています。
精密な技術と設備を活用し、痛みの少ない治療を心掛けています。また、審美治療やインプラント、メインテナンス、訪問診療、抗加齢医学的栄養療法など、幅広いニーズに対応できる専門的なケアを提供しております。皆さまの笑顔を守り、健康的で美しい歯を維持するお手伝いをさせていただきます。お気軽にご相談ください。

略歴

H6年3月
宮崎県立延岡高校卒業
H12年4月
国立徳島大学 歯学部歯学科卒業
H12年5月
歯科医師免許証取得
H12-15年
インプラントセンター、予防歯科医院など3件で勤務
H15年7月
瑞の木会 ローズタウン歯科入社
H22年2月
ローズタウン歯科クリニック 継承
H31年4月
医療法人 地天泰 理事長 就任

所属

  • 日本歯周病学会(歯周病)
  • 日本口腔インプラント学会(インプラント)
  • 日本顕微鏡歯科学会(マイクロスコープ)
  • International Team for Implantology(ITI) member(インプラント)
  • 日本抗加齢医学会(アンチエイジング)
  • 日本分子状水素医学生物学会(アンチエイジング)
  • 日本アライナー矯正歯科研究会(マウスピース矯正)
  • Er-YAGレーザー臨床研究会(レーザー)
  • 日本口腔検査学会
  • 浦安市歯科医師会
  • 千葉県歯科医師会
  • 日本歯科医師会
  • 学校歯科医会

資格

歯科医師、日本抗加齢医学会専門医、ITIセクションジャパンインプラントスペシャリスト認定医