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院長のとっておきの話 その53 その頭痛、歯ぎしりが原因かも? 慢性頭痛と歯ぎしりを同時に治療する、意外な方法とは

はじめに:見過ごされてきたつながり

「もう何年も、つらい偏頭痛に悩まされている…」多くの方が抱えるこのお悩み。鎮痛剤を飲んでもなかなか改善せず、日常生活に支障が出ている方も少なくないでしょう。

しかし、もしその長引く頭痛の原因が、ご自身でも気づいていない「歯ぎしりや食いしばり」にあるとしたら、どうでしょうか?

最近の研究で、この二つの症状には驚くほど深いつながりがあること、そして、両方を同時に改善できる有望な治療法があることが明らかになってきました。この記事では、その知られざる関係性と新しい治療の可能性について、分かりやすく解説します。

驚きの事実:慢性的な頭痛と歯ぎしりは密接に関連している

慢性的な片頭痛(CM)を抱える方にとって、歯ぎしり(ブラキシズム)は、実は非常に多く見られる併存疾患です。問題は、この歯ぎしりが診断されず、治療されないまま放置されることが多い点にあります。

では、なぜこの二つが関係するのでしょうか?専門家は、顔の感覚を脳に伝える「三叉神経」という共通の神経経路が関わっていると考えています。歯ぎしりによってこの神経が過度に刺激されると、それが引き金となって片頭痛の発作が起こりやすくなる可能性があるのです。

研究によれば、未治療の歯ぎしりは片頭痛の頻度と強度を悪化させ、患者さんの生活の質(QOL)や治療効果に深刻な悪影響を与える可能性があると指摘されています。つまり、頭痛を効果的にコントロールするためには、歯ぎしりという口の問題にも目を向けることが非常に重要なのです。

一石二鳥?ボツリヌス療法が持つ「二重の」効果

では、どうすればこの二つの問題を同時に解決できるのでしょうか。そこで注目されているのが、「ボツリヌス療法」(一般的にはボトックス治療として知られています)です。これは慢性片頭痛の予防治療としても用いられるもので、歯ぎしりと頭痛の両方に悩む患者さんにとって、大きな希望となる可能性を秘めています。

この治療は、過度に緊張した顎の筋肉を弛緩させると同時に、痛みの信号を伝える神経伝達物質の放出をブロックする働きがあります。これにより、歯ぎしりそのものと、片頭痛を引き起こす神経の興奮の両方を根本から抑えることが期待できるのです。

ある研究では、この治療法の「二重の効果」について、次のように結論づけています。

私たちの結果は、BoNTAが片頭痛の頻度を減少させることと、歯ぎしりに関連する痛みや障害を軽減することの両方に対して、二重の有益な効果を発揮することを示しています。

数字で見る驚きの改善効果

ボツリヌス療法が具体的にどれほどの効果をもたらしたのか、研究で示された最も重要な結果をいくつかご紹介します。

  • 治療への反応: 治療を受けた患者の70.7%が、月の頭痛日数が半分以下に減少する効果を実感しました。
  • 歯ぎしりによる痛みの軽減: 歯ぎしりに関連する痛みのスコア(10段階評価)が、中央値で7から3へと大幅に減少しました。
  • 顎の筋肉(咬筋)の張りの改善: 検査で認められた咬筋肥大(顎の筋肉の張りや肥大)が見られる患者の割合が、79.3%から43.1%に減少しました。
  • 夜間の歯ぎしりの減少: 夜間の歯の食いしばりを報告した患者の割合が、55.2%から13.8%へと大きく減少しました。

これらの数字は、この治療法が頭痛と歯ぎしりの両方に対して、客観的にも主観的にも顕著な改善をもたらすことを示しています。

顎を治療することが、頭痛を直接改善する

この研究で最も注目すべき発見の一つは、「歯ぎしりによる痛みの改善」と「月間頭痛日数の減少」との間に、非常に強い正の相関関係が見られたことです。

簡単に言えば、歯ぎしりの症状が良くなればなるほど、頭痛も同じように改善した、ということです。

これは、単に二つの症状が同時に良くなったというだけでなく、「歯ぎしりを治療すること」が、片頭痛そのものを管理する上で非常に重要な鍵となる可能性を示唆しています。顎周りの筋肉の緊張を和らげることが、頭痛を引き起こす神経の過敏性を直接抑えることにつながるのかもしれません。

結論:あなたの頭痛への新しい視点

今回の研究結果は、慢性的な片頭痛と歯ぎしりの間に強い関連性があること、そしてボツリヌス療法という一つの治療法が、この二つの問題を安全かつ効果的に管理できることを明確に示しました。

長引く頭痛にお悩みの方は、ご自身の歯ぎしりや食いしばりについて、一度歯科医師に相談してみてはいかがでしょうか? そこに、長年の悩みを解決する新しい道筋が見つかるかもしれません。

頭痛の治療は、単に痛みを抑えるだけではありません。今回の研究が示すように、歯ぎしりのような関連する問題に目を向けることで、より根本的な解決に繋がることがあります。もしお心当たりがあれば、ぜひ一度、私たち専門家にご相談ください。あなたの生活全体の質を高めるための、最適な一歩を一緒に見つけましょう。

【動画で知りたい方はこちら↓】(一部読み方がおかしい部分がありますが内容は正確です)

引用)

Argyriou AA, Dermitzakis EV, Chondrogianni M, Foska A, Rikos D, Xiromerisiou G, Soldatos P, Litsardopoulos P, Vikelis M; Greek Research Alliance for the Study of Headache and Pain (GRASP) Study Group. OnabotulinumtoxinA to Prevent Chronic Migraine with Comorbid Bruxism: Real-World Data from the GRASP Study Group. Toxins (Basel). 2025 Nov 3;17(11):547. doi: 10.3390/toxins17110547. PMID: 41295862; PMCID: PMC12655932.

院長紹介

院長

Tatsuya Aoyama

皆さま、こんにちは。私たちの歯科医院では、患者さま一人ひとりに寄り添い、最適な治療を提供することを目指しています。
精密な技術と設備を活用し、痛みの少ない治療を心掛けています。また、審美治療やインプラント、メインテナンス、訪問診療、抗加齢医学的栄養療法など、幅広いニーズに対応できる専門的なケアを提供しております。皆さまの笑顔を守り、健康的で美しい歯を維持するお手伝いをさせていただきます。お気軽にご相談ください。

略歴

H6年3月
宮崎県立延岡高校卒業
H12年4月
国立徳島大学 歯学部歯学科卒業
H12年5月
歯科医師免許証取得
H12-15年
インプラントセンター、予防歯科医院など3件で勤務
H15年7月
瑞の木会 ローズタウン歯科入社
H22年2月
ローズタウン歯科クリニック 継承
H31年4月
医療法人 地天泰 理事長 就任

所属

  • 日本歯周病学会(歯周病)
  • 日本口腔インプラント学会(インプラント)
  • 日本顕微鏡歯科学会(マイクロスコープ)
  • International Team for Implantology(ITI) member(インプラント)
  • 日本抗加齢医学会(アンチエイジング)
  • 日本分子状水素医学生物学会(アンチエイジング)
  • 日本アライナー矯正歯科研究会(マウスピース矯正)
  • Er-YAGレーザー臨床研究会(レーザー)
  • 日本口腔検査学会
  • 浦安市歯科医師会
  • 千葉県歯科医師会
  • 日本歯科医師会
  • 学校歯科医会

資格

歯科医師、日本抗加齢医学会専門医、ITIセクションジャパンインプラントスペシャリスト認定医