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院長のとっておきの話 その59 痛いだけじゃなかった!専門家が解説する「口内炎」の意外な真実5選

はじめに: その痛い小さな潰瘍には、もっと大きな物語がある

「またできた…」食事や会話のたびにズキッと痛む、あの小さな口内炎。多くの人が経験する、地味でありながら非常に厄介な存在です。多くの人はこれを「疲れがたまっているせい」や「たまたま運が悪かった」と片付けてしまいがちです。

しかし、このありふれた口内炎(専門的には再発性アフタ性口内炎、RASと呼ばれます)は、単なる偶然の産物ではありません。近年の研究により、口内炎は私たちの食生活、心の健康、そして体内で静かに進行している隠れたプロセスと、驚くほど深く結びついていることが明らかになってきました。

この記事では、科学的な研究に基づき、専門家が選んだ「口内炎に関する最もインパクトのある意外な真実」を5つ、分かりやすく解説します。この記事を読めば、あなたの口内炎に対する見方が変わるかもしれません。

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1. ビタミン不足との関係は想像以上に深い

多くの人が「口内炎はビタミン不足のせい」と漠然と考えていますが、その関連性は一般的に理解されているよりもはるかに強く、具体的です。

特に、ビタミンB12、ビタミンC、葉酸(ビタミンB9)、そしてビタミンDの欠乏は、再発性アフタ性口内炎(RAS)と密接に関連していることが分かっています。

この点を強調する強力なデータがあります。2025年に発表されたTagore氏らによる横断研究では、ビタミンB12とDが欠乏しているグループと健康なグループを比較したところ、驚くべき結果が出ました。「ビタミン欠乏グループの42%が再発性口内炎に悩まされていたのに対し、健康な対照グループではわずか15%でした。

なぜこれらのビタミンが重要なのでしょうか。簡単に言うと、これらのビタミンは口の中の粘膜の健康を維持し、免疫反応をサポートするために不可欠だからです。ビタミンが不足すると、この防御壁が弱まり、潰瘍ができやすい状態になってしまうのです。

2. あなたの食事が諸刃の剣に?口内炎と食べ物の意外な関係

口内炎と食事の関係については、意外な発見や直感に反する結果が報告されています。2025年のWeng氏らの研究から、特に驚くべき3つのポイントを紹介します。

意外な発見1:果物は必ずしも味方ではない 一般的に健康に良いとされる果物ですが、頻繁に摂取することが、口内炎に悩む人々の不安感をより悪化させることと関連していました。研究では、その理由として、咀嚼による物理的な刺激や、オレンジやレモンのような特定の果物の強い酸性が、口内炎の痛みや心理的な苦痛を増大させる可能性があると指摘しています。

意外な発見2:香辛料の効いた食べ物が心を落ち着かせる可能性 痛みを悪化させそうに思える香辛料ですが、意外にも、適度な摂取は不安レベルの低下と関連していました。これは、人々がスパイシーな風味に対して持つポジティブな感情的結びつきが関係しているのではないか、と研究では推測されています。

明確な関連性:揚げ物はリスク因子 一方で、はっきりとしたリスク要因も特定されています。揚げ物を頻繁に摂取することは、RASを持つ人々の不安の発生と抑うつの悪化の両方における重大なリスク因子であることが確認されました。これは、読者がすぐに行動に移せる明確な食事改善のポイントと言えるでしょう。

3. 見過ごされがちな「心の健康」への深刻な影響

口内炎がもたらす心理的な負担は、しばしば軽視されがちです。しかし、これは単なる身体的な問題ではなく、心の健康に深刻な影響を及ぼす可能性があります。

Weng氏らによる2025年の研究が示した統計は衝撃的です。再発性口内炎を持つ人々のうち、不安の有病率は49.16%(約半数)、抑うつの有病率は28.77%(4分の1以上)にものぼりました。

なぜこのようなことが起こるのでしょうか。それは、絶え間ない痛みと潰瘍の再発が、食事、会話、嚥下といった日常生活の基本的な活動を妨げるためです。これにより生活の質(QoL)が低下し、大きな心理的苦痛につながるのです。

4. 塗り薬だけじゃない!痛みを和らげる最新&自然派の治療法

多くの人が市販のステロイド軟膏に頼りがちですが、それ以外にも効果的な選択肢が存在します。

まず、現代的な治療法としてレーザー治療が挙げられます。D’Amario氏らによる2025年のレビューによれば、レーザー治療の最大の利点は、セッション直後から顕著かつ即時的な痛みの緩和をもたらすことです。

次に、自然由来の代替療法です。同レビューによると、アロエベラ(アセマンナン)、クルクミン、ミルラ(没薬)から作られたジェルやペーストなど、いくつかの非薬物的な局所治療が肯定的な結果を示しています。いくつかの研究では、これらの効果がコルチコステロイド治療に匹敵する可能性も示唆されています。

さらに、オメガ3サプリメントを全身的に摂取することも、長期的には痛みと再発を減少させることが示されています。

5. すべてを繋ぐ根本原因?「酸化ストレス」とは

これまで見てきた栄養不足や精神的ストレスといった様々な要因を結びつける、根本的な原因の一つとして「酸化ストレス」という概念が注目されています。

酸化ストレスとは、非常に簡単に言えば、「体内で起こるサビつきのようなプロセス」です。Öztekin氏ら(2025年)の研究によると、体を傷つける「活性酸素(フリーラジカル)」と、それを防ぐ「抗酸化物質」のバランスが崩れ、前者が優位になった状態を指します。

この概念は食事と密接に関連します。果物や野菜に豊富に含まれる抗酸化物質を多く含む健康的な食事は、体が酸化ストレスと戦うのを助ける最も強力な武器の一つです。実際、ある研究では、果物の摂取とRASの発症との間に負の関係が見られ、果物が持つ抗酸化作用による保護効果が示唆されています。

ここで、「セクション2で果物が不安を悪化させると言っていたのに、なぜ?」と疑問に思うかもしれません。予防には役立つ可能性がある一方で、一度できてしまった口内炎に対しては、その酸性度や咀嚼による物理的刺激が痛みを悪化させ、精神的な苦痛を増大させる可能性がある、ということです。つまり、口内炎の「予防期」と「発症期」で、果物との付き合い方を変える必要があるかもしれません。

このように、酸化ストレスは、なぜ食事やストレス管理、全体的な健康維持といった包括的なアプローチが口内炎の予防に不可欠なのかを説明する、科学的な根拠となるのです。

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まとめ: あなたの口はメッセージを送っている

繰り返しできる口内炎は、単なる小さな不便ではありません。それは、栄養、心の健康、そして酸化ストレスのような体内の深いプロセスと結びついた複雑な状態の現れです。

一つ一つの要因は独立しているのではなく、互いに影響し合っています。ビタミン不足が粘膜を弱らせ、酸化ストレスが炎症を悪化させ、その痛みが心の健康を蝕む。この悪循環を断ち切ることが、根本的な解決への鍵となります。

次にできるその小さな口内炎は、あなたの身体が送るメッセージかもしれません。それは、一体何を伝えようとしているのでしょうか?

【動画で知りたい方はこちら↓】(一部読み方がおかしい部分がありますが内容は正確です)

引用)

Rosa A, Cianconi G, De Angelis R, Pujia AM, Arcuri C. Hypovitaminosis and its association with recurrent aphthous stomatitis: a comprehensive review of clinical correlations and diagnostic considerations. Front Oral Health. 2025 Jan 28;6:1520067. doi: 10.3389/froh.2025.1520067. PMID: 39935806; PMCID: PMC11811097.

D’Amario M, Foffo G, Grilli F, Capogreco M, Pizzolante T, Rastelli S. Treatments for Recurrent Aphthous Stomatitis: A Literature Review. Dent J (Basel). 2025 Jan 31;13(2):66. doi: 10.3390/dj13020066. PMID: 39996939; PMCID: PMC11853750.

Tagore PK, Harit P, Sachan MK, Bharti MK, Singh P, Harit G. Effect of Vitamins B12 and D Deficiency in Thyroid, Skin, Oral, and Respiratory Disease. J Pharm Bioallied Sci. 2025 Jun;17(Suppl 2):S1749-S1751. doi: 10.4103/jpbs.jpbs_300_25. Epub 2025 Jun 18. PMID: 40655703; PMCID: PMC12244917.

Öztekin A, Öztekin C, Şahin HN, Karadeniz TB, Şenel E, Çalişkan Ataç D, Savci Ü, Neşelioğlu S, Erel Ö. Recurrent aphthous stomatitis, oxidative stress, and ischemia modified albumin: A cross-sectional study. Medicine (Baltimore). 2025 Jul 18;104(29):e43403. doi: 10.1097/MD.0000000000043403. PMID: 40696698; PMCID: PMC12282762.

Weng S, Li S, Hou S. Factors influencing mental health and oral health-related quality of life in population with recurrent aphthous stomatitis: a cross-sectional study. Front Oral Health. 2025 Oct 29;6:1652658. doi: 10.3389/froh.2025.1652658. PMID: 41234733; PMCID: PMC12605422.

院長紹介

院長

Tatsuya Aoyama

皆さま、こんにちは。私たちの歯科医院では、患者さま一人ひとりに寄り添い、最適な治療を提供することを目指しています。
精密な技術と設備を活用し、痛みの少ない治療を心掛けています。また、審美治療やインプラント、メインテナンス、訪問診療、抗加齢医学的栄養療法など、幅広いニーズに対応できる専門的なケアを提供しております。皆さまの笑顔を守り、健康的で美しい歯を維持するお手伝いをさせていただきます。お気軽にご相談ください。

略歴

H6年3月
宮崎県立延岡高校卒業
H12年4月
国立徳島大学 歯学部歯学科卒業
H12年5月
歯科医師免許証取得
H12-15年
インプラントセンター、予防歯科医院など3件で勤務
H15年7月
瑞の木会 ローズタウン歯科入社
H22年2月
ローズタウン歯科クリニック 継承
H31年4月
医療法人 地天泰 理事長 就任

所属

  • 日本歯周病学会(歯周病)
  • 日本口腔インプラント学会(インプラント)
  • 日本顕微鏡歯科学会(マイクロスコープ)
  • International Team for Implantology(ITI) member(インプラント)
  • 日本抗加齢医学会(アンチエイジング)
  • 日本分子状水素医学生物学会(アンチエイジング)
  • 日本アライナー矯正歯科研究会(マウスピース矯正)
  • Er-YAGレーザー臨床研究会(レーザー)
  • 日本口腔検査学会
  • 浦安市歯科医師会
  • 千葉県歯科医師会
  • 日本歯科医師会
  • 学校歯科医会

資格

歯科医師、日本抗加齢医学会専門医、ITIセクションジャパンインプラントスペシャリスト認定医