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院長のとっておきの話 その4 お口の中の“傷”、測れます。あなたの全身状態を物語る新指標「PISA」とは?

導入:あなたの歯ぐきの「健康診断」、本当の意味を知っていますか?

歯科検診で、「歯周ポケットが4ミリですね」「少し出血があります」といった言葉を聞いた経験はありませんか?専門家にとっては重要な情報でも、私たちにとっては、それが一体どれくらい深刻な状態なのか、直感的に理解するのは難しいものです。多くの人が、専門用語や数値を前にして、自分の口の中の本当の状態を掴みきれないまま、なんとなく納得してしまっているかもしれません。

しかし、最近ではその「分かりにくさ」を解消し、お口の中の炎症状態を一目で理解できる新しい指標が登場しました。それが、この記事でご紹介する「PISA(ピーサ)」です。この指標は、あなたの歯ぐきの健康状態を、まったく新しい視点から教えてくれます。

驚きの事実1:歯ぐきの炎症が「面積(mm²)」で測れるようになった

最初の驚きは、目に見えない歯ぐきの中の炎症が、具体的な「面積」で測れるようになったことです。

「PISA(Periodontal Inflamed Surface Area)」とは、歯周ポケットの中で出血を伴う炎症が起きている部分の総面積を、「mm²(平方ミリメートル)」という具体的な数値で表す指標です。

これまで使われてきた「BOP(プロービング時出血)」などの指標は、炎症が「あるか・ないか」を示すものでした。これは、天気で言えば「雨が降っている」と知るようなものです。しかしPISAは、炎症の「量」や「範囲」を定量的に捉えることができます。つまり、「50ミリの雨が降った」と、その規模まで教えてくれるのです。単に「出血がある」のではなく、「どれくらいの広さで炎症が起きているのか」が明確になる、画期的なアプローチです。

例えば、健康な人のPISAスコアは数十mm²程度ですが、重度の歯周炎患者では数千mm²に達することもあると報告されています。あなたの口の中に、一体どれくらいの面積の炎症が隠れているのでしょうか?

驚きの事実2:「手のひら」で実感する、お口の中の“隠れた傷”

PISAが画期的なのは、単に数値を出すだけではありません。その数値を、誰もが実感できる身近なものに例えられる点にあります。

ごく小さなPISAスコアは、炎症を起こしている面積が「米粒ひとつぶ」程度かもしれません。それが悪化すると「小豆くらい」に、あるいは「親指の先くらい」の広さになるかもしれません。このように、小さな規模でも問題を可視化できるのがPISAの強みです。

では、炎症がもっと深刻になった場合はどうでしょう?歯科衛生士が患者さんに説明する際、次のような言葉が使われることがあります。

たとえば、PISAが “200 mm²”という数値だと、『成人男性の手のひら半分くらいの面積』に相当する範囲が炎症を起こしている…と考えていただくと分かりやすいです。

この一言で、状況は一変します。「200 mm²」という抽象的な数字が、「手のひら半分ほどの傷」という、無視できない具体的なイメージに変わるのです。

もし、あなたの腕や足に手のひら半分ほどの傷ができて、ずっと出血していたらどうでしょう?すぐに病院へ駆け込むはずです。この比喩は、「歯周病」が単なる口の中の小さな問題ではなく、身体の中に無視できない大きさの「炎症」や「傷」を常に抱えている状態なのだという事実を、私たちに突きつけます。

驚きの事実3:その数値は、あなたの「全身の健康」と会話している

PISAが示すのは、お口の中だけの話にとどまりません。近年の研究で、PISAスコアが糖尿病の重要な指標である「HbA1c」や、全身の炎症状態を示すマーカー「hs-CRP」と相関があることが分かってきました。

これは、歯ぐきの状態がもはや口内だけの問題ではない、というパラダイムシフトを意味します。あなたの歯ぐきは、あなたの全身の健康と直接“会話”しているのです。高いPISAスコアは、単なる歯科の問題ではなく、あなたの身体全体に対する潜在的な警告灯と言えるでしょう。

このため、PISAは歯科と医科をつなぐ「共通言語」としての役割も期待されています。歯ぐきの炎症面積という客観的な数値を通して、口腔ケアが全身の健康管理にとっていかに重要であるかを、より広い視点で理解する時代が来ています。

まとめ:自分の「PISAスコア」、知りたくなりましたか?

この記事では、歯周病の新しい指標「PISA」がもたらす、私たちの健康観を覆すような事実を見てきました。PISAは、目に見えない歯ぐきの炎症を「平方ミリメートル」という具体的な数値に変え、「手のひら」といった身近な例えでその深刻さを実感させてくれます。そして何より、その数値が糖尿病などの全身状態と対話し、口腔の健康が全身の健康と分かちがたく結びついていることを教えてくれます。これは、あなたのデンタルチャートに書かれる単なる数字ではありません。あなたの健康全体を映し出す、新しい窓なのです。

治療によってこの数値が実際に小さくなっていく様子を目の当たりにできれば、「炎症がこれだけ減った」という成果が明確に分かり、日々のケアを続ける大きなモチベーションにもなるはずです。

もし次回の歯科検診で、あなたのお口の中の“炎症の広さ”を具体的な面積で知ることができるとしたら…。自分のPISAスコア、知りたくありませんか?

【動画で知りたい方はこちら↓】(一部読み方がおかしい部分がありますが内容は正確です)

こちらのブログは主に当院に来院されている方や、全身の健康維持、予防医療、抗加齢医学に興味のある方を対象に、とびっきりの良い情報をご案内することを目的としています。
来院された際に、感想やコメントなど聞かせていただけると嬉しいです。

院長紹介

院長

Tatsuya Aoyama

皆さま、こんにちは。私たちの歯科医院では、患者さま一人ひとりに寄り添い、最適な治療を提供することを目指しています。
精密な技術と設備を活用し、痛みの少ない治療を心掛けています。また、審美治療やインプラント、メインテナンス、訪問診療、抗加齢医学的栄養療法など、幅広いニーズに対応できる専門的なケアを提供しております。皆さまの笑顔を守り、健康的で美しい歯を維持するお手伝いをさせていただきます。お気軽にご相談ください。

略歴

H6年3月
宮崎県立延岡高校卒業
H12年4月
国立徳島大学 歯学部歯学科卒業
H12年5月
歯科医師免許証取得
H12-15年
インプラントセンター、予防歯科医院など3件で勤務
H15年7月
瑞の木会 ローズタウン歯科入社
H22年2月
ローズタウン歯科クリニック 継承
H31年4月
医療法人 地天泰 理事長 就任

所属

  • 日本歯周病学会(歯周病)
  • 日本口腔インプラント学会(インプラント)
  • 日本顕微鏡歯科学会(マイクロスコープ)
  • International Team for Implantology(ITI) member(インプラント)
  • 日本抗加齢医学会(アンチエイジング)
  • 日本分子状水素医学生物学会(アンチエイジング)
  • 日本アライナー矯正歯科研究会(マウスピース矯正)
  • Er-YAGレーザー臨床研究会(レーザー)
  • 日本口腔検査学会
  • 浦安市歯科医師会
  • 千葉県歯科医師会
  • 日本歯科医師会
  • 学校歯科医会

資格

歯科医師、日本抗加齢医学会専門医、ITIセクションジャパンインプラントスペシャリスト認定医