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院長のとっておきの話 その82 驚愕の事実:お口の健康が、あなたの「腸」と「脳」の運命を左右する理由

はじめに:お口のケアが、全身の健康問題…?

毎日の歯磨きが、あなたの脳の健康や消化器系の状態にまで影響を及ぼす可能性があると考えたことはありますか?私たちの体は、個々のパーツが独立して動いているわけではなく、すべてが深く結びついた一つの統合システムです。そして近年の科学は、これまで見過ごされてきた「口」と「腸」、そして「脳」とをつなぐ、驚くべき“スーパーハイウェイ”の存在を明らかにし始めています。

この記事では、科学界で「口腔-腸-脳 軸(oral-gut-brain axis)」として知られるこの衝撃的なつながりについて、最新の研究結果からわかった最も重要な事実を解き明かします。なぜお口の健康が、多くの人が想像する以上に私たちの全身の健康にとって重要なのか、その理由がここにあります。

歯科科学が解き明かす!お口と全身の意外な関係トップ3

驚きの事実①:お口は「腸」と「脳」に直結する“巨大な入り口”だった

私たちの体には、口から腸、そして脳へと至る直接的なコミュニケーション経路、「口腔-腸-脳 軸」が存在します。まず知っておくべきなのは、口腔内には、腸の次に、体内で2番目に大きな微生物の住処(マイクロバイオーム)が存在しているという事実です。

そして衝撃的なことに、解剖学的なつながり、つまり消化管を通じて、毎日1兆個以上もの口腔内細菌が口から腸へと移動しています。さらに、口から脳へは三叉神経(さんさしんけい)を介した神経と血管の直接ルートが、腸から脳へは迷走神経(めいそうしんけい)を介した主要な情報伝達ルートがあり、これらが複雑な情報ネットワークを形成しているのです。これは、お口が単に食事をするための場所ではなく、体内で最大級の微生物コミュニティを抱える「腸」というシステムに直接影響を与える、巨大な入り口であることを意味します。

驚きの事実②:歯周病が「歯茎の漏れ」から「腸の漏れ」を引き起こし、全身に炎症を広げる

歯周病は、単なる口内の感染症や炎症性疾患ではありません。この病気は、まず口のバリア機能にダメージを与え、「歯茎の漏れ(Leaky Gums)」とも言える状態を作り出します。

この最初のバリア破壊が引き金となり、口腔内の善玉菌と悪玉菌のバランスが崩れる「マイクロバイオームの乱れ(ディスバイオーシス)」が起こります。この乱れた口腔内細菌が大量に腸へ流れ込むと、今度は腸の内壁を覆う粘膜バリアの機能まで損ない、一般に「腸漏れ(リーキーガット)」と呼ばれる状態を引き起こす可能性があるのです。

バリアが次々と“漏れる”状態になると、有害な細菌やその成分が、本来いるべき場所である口や腸から脱出し、血流などの体内のコミュニケーションシステムに侵入してしまいます。そして、それらは肝臓、脾臓、さらには脳といった遠く離れた臓器へと運ばれてしまうのです。このプロセスは、体全体をじわじわと蝕む、慢性的で軽度の炎症状態に陥らせます。

驚きの事実③:歯周病が「脳の漏れ」を招き、「アルツハイマー病」の危険因子となる衝撃

これが最も衝撃的な事実かもしれません。「歯茎の漏れ」から始まった連鎖は、最終的に「脳の漏れ(Leaky Brain)」、つまり脳を保護する最後の砦である血液脳関門の機能低下につながる可能性が指摘されています。現在、歯周病はアルツハイマー病の重大な危険因子の一つとして認識されており、この関連性を裏付ける科学的証拠は非常に明確です。

  • アルツハイマー病で亡くなった患者の脳を死後に調べたところ、ポルフィロモナス・ジンジバリス(P. gingivalis)のような有害な歯周病原菌が検出されました。
  • ある画期的な実験では、歯周病患者の唾液をマウスに投与したところ、マウスに腸内細菌の乱れ、神経炎症、記憶障害、そしてアルツハイマー病の典型的な特徴であるアミロイドβプラークの蓄積が引き起こされたことが示されました。

この発見は、私たちの健康観を根底から覆すものです。お口の衛生管理は、もはや単なる清潔さの問題ではありません。それは、私たちの長期的な脳の健康を守るための、基本的かつ極めて重要な戦略なのです。

まとめ:お口を守ることは、未来の自分を守ること

私たちの体は、すべてがつながった一つのシステムです。お口の健康は決して孤立した問題ではなく、「歯茎の漏れ」が「腸の漏れ」を、そして「脳の漏れ」を引き起こしかねない、全身の健康を支える土台そのものです。日々の歯磨きやフロスは、単なる虫歯予防ではなく、全身の病気や認知機能の低下から身を守るための「予防神経学」とも言える、積極的な防衛戦略なのです。

希望の持てる事実もあります。世界中の「ブルーゾーン」と呼ばれる長寿地域に住む百寿者たちは、同年代の他の人々と比べて、非常に優れた口腔内の健康状態を保っていることが分かっています。彼らの長寿の秘訣の一つが、健康な口にあるのかもしれません。

最新の科学が示す最も重要な教訓は、「お口の健康を維持することは、腸内細菌のバランスの乱れや全身の炎症を防ぎ、最終的にあなたの脳を守るための最も効果的な戦略の一つである」ということです。

今日から、あなたの未来の脳と全身の健康のために、お口のケアを見直してみませんか?

【動画で知りたい方はこちら↓】(一部読み方がおかしい部分がありますが内容は正確です)

引用)
Kim RY, Kuraji R, Kapila YL. Systemic Health Implications of the Leaky Barriers within the Oral-Gut-Brain Axis and its Pathways of Communication. Eur Med J (Chelmsf). 2025 Mar;10(1):47-50. doi: 10.33590/emj/mlmf2612. Epub 2025 Mar 13. PMID: 41404120; PMCID: PMC12704178.

院長紹介

院長

Tatsuya Aoyama

皆さま、こんにちは。私たちの歯科医院では、患者さま一人ひとりに寄り添い、最適な治療を提供することを目指しています。
精密な技術と設備を活用し、痛みの少ない治療を心掛けています。また、審美治療やインプラント、メインテナンス、訪問診療、抗加齢医学的栄養療法など、幅広いニーズに対応できる専門的なケアを提供しております。皆さまの笑顔を守り、健康的で美しい歯を維持するお手伝いをさせていただきます。お気軽にご相談ください。

略歴

H6年3月
宮崎県立延岡高校卒業
H12年4月
国立徳島大学 歯学部歯学科卒業
H12年5月
歯科医師免許証取得
H12-15年
インプラントセンター、予防歯科医院など3件で勤務
H15年7月
瑞の木会 ローズタウン歯科入社
H22年2月
ローズタウン歯科クリニック 継承
H31年4月
医療法人 地天泰 理事長 就任

所属

  • 日本歯周病学会(歯周病)
  • 日本口腔インプラント学会(インプラント)
  • 日本顕微鏡歯科学会(マイクロスコープ)
  • International Team for Implantology(ITI) member(インプラント)
  • 日本抗加齢医学会(アンチエイジング)
  • 日本分子状水素医学生物学会(アンチエイジング)
  • 日本アライナー矯正歯科研究会(マウスピース矯正)
  • Er-YAGレーザー臨床研究会(レーザー)
  • 日本口腔検査学会
  • 浦安市歯科医師会
  • 千葉県歯科医師会
  • 日本歯科医師会
  • 学校歯科医会

資格

歯科医師、日本抗加齢医学会専門医、ITIセクションジャパンインプラントスペシャリスト認定医