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セラミックが割れた! からわかることとは?
「セラミックが割れてしまいました!」という方が来院されました。
左の下の一番後ろにある歯です。
マイクロスコープで観察してみると、確かに割れています。
割れた場所は、口の中でも一番力がかかる場所です。
さらに、ひびが入っています。
このような場合、どうするのでしょうか?
まず、割れた原因を考えてみます。
「セラミックの厚みが薄すぎた」
「接着のエラーがあった」
「かみ合わせがそこに常に集中していた」
というのが術者側の技術的エラーとして考えられるポイントです。
今回は、この3点の可能性は低そうです。
では、なにが起こったのか?
一つ考えられるのは、
「歯ぎしり」です。
通常の歯科の考え方において、
「歯ぎしり」はストレス発散行為であり、
根本的な対処法として、
夜間に歯に「ナイトガード」というカバーを装着するというものがあります。
では、通常ではない考察をしてみましょう。
この通常ではない考察というのは、
「なぜ、歯ぎしりが起こったのか?」という根本を探る考察をします。
一般の歯科医師には教育されていないので、
分子栄養医学の考え方を応用してみます。
まず、「歯ぎしり」が起こったというのは、
「咀嚼筋の活動が異常に亢進した状態」と考えます。
その理由を考えてみますと、
睡眠時に異常に血糖値が下がりすぎて(機能性低血糖症)、
血糖値をあげようとするホルモン「アドレナリン」が分泌された。
そして、「筋肉が異常に収縮活動をした」という考えです。
このような方の場合、炭水化物を食べたあと血糖値が高値になる
食後高血糖が存在することがあります。
食後高血糖は、5時間糖負荷試験により検査されるものですが、
1.5AGという血液検査項目でも知ることができますし、
「食後異様に眠くなる」ということからも想像できます。
最も簡単なのは、
「日頃何を食べているか?」をお聞きすることです。
それは、
糖質過剰な状態、
すなわち、
「食後必ず甘いデザートを食べる」
「チョコなどを毎日食べている」
「間食は必ず甘いものを食べる」
「ご飯(米)をモリモリ食べる」
という方に多く見られ、
血糖コントロールが乱れている状態が想像できます。
ちなみに、カカオの比率が高くないチョコレートの主成分は
お砂糖です。(血糖をスパークさせます)
糖質過剰の状態では、
ビタミンB1の代謝により消費が亢進し、
乳酸の蓄積が起こり疲れが溜まりやすくなるようです。
さらに、いろいろなことが起こります。
ビタミンB1が欠乏すると、
マグネシウム不足も起こります。
マグネシウムが不足すると、
典型的にあらわれる症状としては
「足がつる」ということが挙げられます。
歯科の領域では、
「歯石が多く沈着する」という現象が見られます。
この理由は後で説明します。
マグネシウム不足で足がつるのは、
筋肉の異常な収縮が起こるからです。
なぜ、筋肉の異常収縮が起こるのか、
この理由は、マグネシウムとカルシウムがブラザー(兄弟)イオンだからです。
ここにミネラルの相互関係を載せておきます。
マグネシウム不足の場合は、
「チョコレートが食べたくなる」という現象があるようです。
チョコにマグネシウムがたくさん含まれているので、
本能的に選択しようとしているのかもしれません。
マグネシウムは、カルシウムのゲートキーパーと言われており、
カルシウムの調節を行なっています。
マグネシウムが不足すると、
カルシウムの排泄が起こりやすくなり、
唾液中にカルシウムが多くでる現象として観察されると
考えられます。
この考えを、
カルシウムパラドックスと言います。
カルシウムパラドックスのリンクはこちら
これはよく、
「骨にはカルシウムが必要だから、牛乳を飲みましょう」などと言われます。
しかし、マグネシウムとカルシウムの比率が乱され、
カルシウムが増えすぎると、
カルシウムが排泄されやすくなります。
骨や歯からミネラル分としてのカルシウムが出て行くわけです。
また、マグネシウムは
鉛や水銀という分子量の大きい重金属によって簡単にキレートされてしまいます。
歯にアマルガムという金属が入っており、
それを除去するときにしっかりと防護しておかないと、
除去したかけらが腸内でメチル化されて
悪さをするといったことも報告されています。
このミネラルバランスは、
毛髪ミネラル検査で検討していくことが可能ですが、
マグネシウム不足は主に問診票で明らかにしていきます。
さて、このセラミックが割れた方の食生活を聞いてみたところ、
「甘いものは毎日必ず食べる」
「特にチョコレートは常備している」
「足がつるようになってきた」
とのことでした。
さらに、最近コレステロールが基準値より外れてきたので、
コレステロールの薬を医師から処方され飲んでいるとのことでした。
コレステロールについては、
食後高血糖が起こり、その際に生じる毛細血管スパズム(けいれん)により、
血管が障害され、傷がついた部分に蓄積したのが脂質だったので、
「コレステロールが悪いという見解に至った」といわれています。
コレステロール自体が悪いのではないようです。
上手く説明されているのがこの動画です。
[youtube]http://youtu.be/Qy_Nm-L_nv0[/youtube]
コレステロールを下げる薬で、
歯科領域で問題にしているのは
歯ぐき内のCoQ10(コエンザイムQ10)という抗酸化物質の濃度が下がることです。
CoQ10は体の中で作られますが、
コレステロールを下げる薬(HMG-CoA)はその経路をブロックします。
我々は常に、酸化物質が生じ、
抗酸化物質によって活性酸素を除去して生活しています。
この抗酸化物質というのは、
ビタミンC、
ビタミンE、
αリポ酸、
グルタチオン、
CoQ10があり、
これらは相互に抗酸化ネットワークを組んでいます。
抗酸化が落ちるということは、
細胞障害が蓄積する可能性が上がります。
この方の話に戻しますと、
ミネラルバランスを壊すような重金属は歯に入っていませんので、
バランスを取り戻すために、
食事を変えていくことが必要になります。
つまり、
「糖質過剰な状態をやめる」
「そのためには、食の学習をしてもらう」
「同時にマグネシウムを補給する」
もちろん、割れたセラミックのやり直しはすぐに行ないます。
糖質過剰による血糖調節異常、ミネラルバランス異常が疑われ、
さらにそれが「歯ぎしり」「くいしばり」として発現し、
歯に過剰な力が加わり続け、
「むし歯のような痛み」や「自分の歯が割れる」という症状を訴える方が
増えているようです。
実は、これだけでは話は終わりません。
糖質過剰な状態は、
たんぱく質を糖化させる(グリケーション)という現象につながります。
例をあげると
2型糖尿病で、HbA1cという血液検査項目がありますが、
これは糖化ヘモグロビンといって、
本来酸素を運搬する役割のヘモグロビンが、
糖により糖化され、
酸素を運搬できない状態になっている割合を示しています。
赤血球だけではなく、
体中のあらゆるたんぱく質がなんらかの糖化反応を受け、
その機能を発揮できなくなるのでは?と考えらています。
歯科でいえば、
糖質過剰な方は、
歯肉の毛細血管の血管スパズムによる損傷とそれに伴う脂質の蓄積、
糖化ヘモグロビンによる酸素運搬が上手くいかない、
う蝕や歯周病を引き起こす細菌を増やすといった細菌叢の撹乱、
アドレナリン分泌を行なう副腎が疲労する、
さらに、
抗酸化物質ビタミンCの細胞への取り込みが落ちる、
ビタミンC減少により白血球活動が減少、
抗酸化能力も落ち、コラーゲン合成能も低下
ビタミンCが、大量に消費する副腎に使われ皮膚や粘膜になかなかまわらない
ということが考えられます。
歯周病菌が増えると、
歯肉を出血させ、
血液の中の赤血球から鉄を取り出し餌として活動しますが、
体の中で使われる鉄が減少するということは、
鉄欠乏状態の不定愁訴として現れる可能性があります。
今回は、口の中に起こった一つの現象から
どのようなことが想像できるのかを書いてみました。
根本的なことに目をむけると、
氷山の一角の下にどんなことが潜んでいるか、
想像できましたでしょうか。
私が知っていただきたいのは、
食事がどのような影響を及ぼすかということよりも
(ここに頭を使うのは我々医療従事者の役割です)、
「食事って大事ですよ」ということです。
糖質過剰な方がいきなり、
「糖質制限」と気合いをいれてはじめても
失敗することが多いようですので、
詳しい医師のもとで行なうことが推奨されます。
簡単に言えば、
「糖質をたんぱく質に入れ替えて行く」というのが鍵になりますが、
ω6やω3といった脂肪酸の組成など、
この内容はたくさんありすぎるので、
来院されている方に案内している「限定動画」でご説明しています。
その一部はコチラです。
最後にマグネシウムの補給の仕方をご紹介しておきます。
私の場合は、毎日のお風呂を利用しています。
お風呂にマグネシウムを入れて浸かり、
経皮吸収させています。
その商品はコチラです。
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バレンタインデーにチョコレートを送るのではなく、
こちらを送ることをお勧めします。
それでは!
まだまだ学びを続け
みなさまの健康につなげられるようにご紹介していきますので
お楽しみに。