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院長のとっておきの話 その19 地中海式食事は歯にも良い?専門家が解説する、意外と知られていない5つの健康効果

地中海式食事(Mediterranean Diet)が心臓の健康に良いことは、広く知られています。しかし、その恩恵は循環器系にとどまりません。近年の研究では、私たちの歯の健康や、つい食べ過ぎてしまうといった食行動にまで、良い影響を与える可能性が示されています。

地中海式食事が歯周病リスクの低下や過食行動の抑制に関係するという最新の研究は、食事が私たちの心身の健康にどれほど深く、そして多角的に影響を与えるかを示しています。この記事では、科学的根拠に基づき、地中海式食事がもたらす意外と知られていない5つの健康効果を専門家が解説します。口の中から脳、そして心の健康まで、この食事が私たちの生活全体をいかに豊かにしてくれるかを見ていきましょう。

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1. 驚きの効果①:歯周病のリスクを減らす

地中海式食事を熱心に実践している人は、歯周病のリスクや重症度が低いことが、近年の複数の系統的レビューによって実証されています。歯周病は、世界中の成人の約60%が罹患していると言われる身近な問題であり、その予防は口腔内だけでなく全身の健康維持に不可欠です。

この効果の鍵は、地中海式食事の大きな特徴である、豊富な植物由来の食品にあります。果物、野菜、全粒穀物などに含まれる多様な成分が持つ抗炎症作用が、歯周組織の健康を促進すると考えられています。つまり、地中海式食事は体全体の炎症を抑えるだけでなく、口腔内の健康維持にも直接的に貢献してくれるのです。

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2. 驚きの効果②:つい食べ過ぎてしまう「過食行動」を抑える

驚くべきことに、地中海式食事が「過食(Binge Eating)」と呼ばれる衝動的な食べ過ぎを抑制するのに役立つ可能性が、歯周病との関連を調査した研究からも示唆されています。ある1000人以上の成人を対象とした研究では、地中海式食事の遵守度が高いほど、過食行動のスコアが低いという有意な負の相関関係(r = -0.112)が確認されました。

この背景には、複数の生理学的メカニズムが関わっています。まず、全粒穀物や豆類に豊富な食物繊維は、「咀嚼時間を延ばす」「胃を物理的に満たす」ことに加え、満腹感をもたらすホルモン「GLP-1」の分泌を促します。さらに、魚やオリーブオイルに含まれるオメガ3脂肪酸や、野菜に含まれるビタミンB群などが、気分を安定させる神経伝達物質セロトニンの生成を助け、衝動的な食欲を内側からコントロールする役割を果たすと考えられています。

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3. 驚きの効果③:加齢による脳と筋肉の衰えを防ぐ

地中海式食事は、年齢を重ねることで生じる身体的な衰えを防ぐ効果も期待されています。具体的には、アルツハイマー病のような認知機能の低下リスクを下げ、脳の神経系を酸化ストレスから守ることが報告されています。

さらに、「サルコペニア」と呼ばれる加齢に伴う筋肉量の減少を食い止める働きも重要です。サルコペニア予防には、特にタンパク質の摂取が鍵となりますが、地中海式食事は、豊富な小麦タンパク質をはじめとする良質な供給源となります。近年の研究では、筋肉量を維持するために1日あたり体重1kgにつき1.6〜1.8g程度のタンパク質摂取が効果的とされており、地中海式食事はこの推奨を満たすための優れたアプローチとなり得ます。

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4. 驚きの効果④:単なる「食事法」ではなく、ユネスコも認める「ライフスタイル」

地中海式食事は、単に「何を食べるか」というルール集ではありません。それは食を中心とした包括的なライフスタイルそのものであり、その文化的価値は高く評価され、2013年にはユネスコの無形文化遺産にも登録されています。

このライフスタイルの中核には、「Conviviality(会食性)」、つまり家族や友人と食卓を囲み、食事を共に楽しむという文化があります。これは心理的な幸福感を高める上で非常に重要です。また、旬の食材や地元の産物を尊重し、自然のリズムに合わせた持続可能な食生活を促進することも、地中海式食事が単なる食事法以上の価値を持つ理由の一つです。

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5. 驚きの効果⑤:体のサビつきを防ぐ「生物活性分子」の宝庫

地中海式食事に含まれる食品は、「生物活性分子(Bioactive molecules)」の宝庫です。これは、ポリフェノールやカロテノイドといった天然の化合物で、私たちの体内で強力な抗酸化物質や抗炎症物質として機能し、いわば「体のサビつき」である酸化ストレスから細胞を守ってくれます。

例えば、トマトに豊富なリコピンは強力な抗酸化物質として知られています。ニンニクなどのネギ属の野菜に含まれるアリシンなどの有機硫黄化合物は、血圧の低下を助ける働きがあります。また、ナッツ類は、血管の内皮機能を改善する効果が期待されるフィトステロールやL-アルギニンを豊富に含んでいます。これらはほんの一例であり、地中海式食事は、以下のような食品を通じて、多様な生物活性分子を相乗的に摂取できるのが最大の強みです。

  • オリーブオイル
  • 果物や野菜(特にトマトや葉物野菜、ニンニク)
  • 豆類
  • 全粒穀物
  • ナッツ類

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Conclusion

地中海式食事は、心臓の健康を守るだけでなく、歯周病のリスクを減らし、過食を抑え、脳や筋肉の老化を防ぐなど、心と体全体に恩恵をもたらすホリスティックなアプローチです。それは単なる食事法ではなく、人とのつながりや自然への敬意を大切にする豊かなライフスタイルでもあります。

あなたの毎日の食卓に、地中海式ライフスタイルの知恵を少しだけ取り入れてみてはいかがでしょうか?


【動画で知りたい方はこちら↓】(一部読み方がおかしい部分がありますが内容は正確です)

引用)

Ekici, E.M., Yücel, S., Güler, Ü. et al. Associations between mediterranean diet adherence, binge eating behavior, and oral health-related quality of life in adults. J Health Popul Nutr 44, 418 (2025). https://doi.org/10.1186/s41043-025-01157-x

Cianciabella M, Predieri S, Tamburino R, Medoro C, Volpe R, Maggi S. Health-Promoting Potential of the Mediterranean Diet and Challenges for Its Application in Aging Populations. Nutrients. 2025 Nov 24;17(23):3675. doi: 10.3390/nu17233675. PMID: 41373966.

院長紹介

院長

Tatsuya Aoyama

皆さま、こんにちは。私たちの歯科医院では、患者さま一人ひとりに寄り添い、最適な治療を提供することを目指しています。
精密な技術と設備を活用し、痛みの少ない治療を心掛けています。また、審美治療やインプラント、メインテナンス、訪問診療、抗加齢医学的栄養療法など、幅広いニーズに対応できる専門的なケアを提供しております。皆さまの笑顔を守り、健康的で美しい歯を維持するお手伝いをさせていただきます。お気軽にご相談ください。

略歴

H6年3月
宮崎県立延岡高校卒業
H12年4月
国立徳島大学 歯学部歯学科卒業
H12年5月
歯科医師免許証取得
H12-15年
インプラントセンター、予防歯科医院など3件で勤務
H15年7月
瑞の木会 ローズタウン歯科入社
H22年2月
ローズタウン歯科クリニック 継承
H31年4月
医療法人 地天泰 理事長 就任

所属

  • 日本歯周病学会(歯周病)
  • 日本口腔インプラント学会(インプラント)
  • 日本顕微鏡歯科学会(マイクロスコープ)
  • International Team for Implantology(ITI) member(インプラント)
  • 日本抗加齢医学会(アンチエイジング)
  • 日本分子状水素医学生物学会(アンチエイジング)
  • 日本アライナー矯正歯科研究会(マウスピース矯正)
  • Er-YAGレーザー臨床研究会(レーザー)
  • 日本口腔検査学会
  • 浦安市歯科医師会
  • 千葉県歯科医師会
  • 日本歯科医師会
  • 学校歯科医会

資格

歯科医師、日本抗加齢医学会専門医、ITIセクションジャパンインプラントスペシャリスト認定医