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院長のとっておきの話 その8 食べるアンチエイジング?専門家が注目する凄い成分「エルゴチオネイン」4つの驚きの健康効果 

はじめに:ごく身近に潜む驚くべき食材

次々と現れる「スーパーフード」が一過性のブームで終わる一方で、科学者たちの注目は、流行ではなく、私たちの生命活動の根幹に関わる一つの成分に集まっています。それが「エルゴチオネイン」です。最新の強力な研究によって、その驚くべき健康効果が次々と明らかになっています。

この記事では、予防医療と栄養科学の観点から、科学的根拠に基づいたエルゴチオネインの最も驚くべき4つの健康効果を、分かりやすく解説していきます。

1. 驚き①:私たちの体が作れないのに、わざわざ運ぶ「賢い抗酸化物質」

エルゴチオネイン(EGT)とは、きのこなどの菌類や一部の細菌のみが生成できる、非常に強力な天然の抗酸化物質です。

ここには生物学的な大きな謎があります。私たち人間を含む哺乳類は、体内でエルゴチオネインを合成することができません。にもかかわらず、私たちの体には「OCTN1」という専用の輸送タンパク質が存在します。この輸送タンパク質は、食事からエルゴチオネインを効率的に吸収し、特に酸化ストレスが高い組織(脳、肝臓、腎臓など)へ選択的に運ぶ役割を担っています。いわば、体内の酸化ストレスという「火事」が起きやすい場所に優先的に配備される、優秀な消防士のような存在です。

体内で作れない特定の成分のために、わざわざ専用の運び屋を用意しているというこの生物学的な特異性は、エルゴチオネインが私たちの体が進化の過程で依存するようになった、極めて重要な保護的役割を担っていることを示す強力な証拠と言えるでしょう。食事からの摂取が不可欠な、まさに「賢い抗酸化物質」なのです。

2. 驚き②:脳の健康を守る強力な味方 ― 最新研究が示す認知症予防との関連

エルゴチオネイン研究の中で最も注目されている分野の一つが、脳の健康と認知症予防への関連性です。

日本の研究チームが発表した画期的な研究では、非常に興味深い結果が示されました。大規模な前向きコホート研究「久山町研究」では、65歳以上の認知症でない地域住民1,344人を中央値で11.2年間にわたって追跡調査しました。その結果、血中のエルゴチオネイン濃度が高い人々は、アルツハイマー病を含む全ての原因による認知症を発症するリスクが有意に低いことが明らかになったのです。

この発見は、他の研究結果とも一致しています。例えば、血中のエルゴチオネイン濃度は加齢とともに低下する傾向があり、軽度認知障害を持つ人々の血中濃度は健常者と比較して著しく低いことが報告されています。

そのメカニズムとして、エルゴチオネインが持つ強力な抗酸化作用と抗炎症作用によって、脳細胞がダメージから守られるためだと考えられています。研究により、エルゴチオネインは血液脳関門(BBB)を通過して中枢神経系(CNS)に入り込むことができると示されています。

3. 驚き③:肌の老化対策は「塗る」から「食べる」へ?― 体の中から守る”飲む日焼け止め”

「食べる日焼け止め」というコンセプトは、美容に関心のある方なら一度は耳にしたことがあるかもしれません。エルゴチオネインは、まさにその役割を果たす可能性を秘めています。

研究により、エルゴチオネインは紫外線(UV)による皮膚のダメージを軽減し、シワ、シミ、たるみといった光老化のサインを防ぐ助けとなることが示されています。ある臨床試験では、エルゴチオネインを含む美容液を56日間使用した結果、肌の明るさ(L値)が0.98%有意に改善し、顔の黄ぐすみ(b値)が5.92%も減少したことが実証されました。

さらに、カナダ北部に住むイヌイットの人々の食生活は、この効果を裏付ける魅力的な事例です。彼らの伝統的な食事にはベルーガ(シロイルカ)の皮が含まれており、これが原因で彼らの血中エルゴチオネイン濃度は世界でも最高レベルにあります。興味深いことに、雪からの強い紫外線の反射に晒されているにもかかわらず、イヌイットの人々の皮膚がんの有病率は他の集団に比べて低いことが観察されています。エルゴチオネインが豊富な食事が、その保護的役割の一端を担っているのではないかと推測されています。

4. 驚き④:健康寿命の鍵?心血管疾患と死亡リスク低下との驚くべき関連

単に長生きするだけでなく、いかに健康な状態で長く生きるかという「健康寿命」が重要視されています。エルゴチオネインは、この健康寿命を延ばす鍵となるかもしれません。

スウェーデンで行われた大規模な縦断研究では、3,833人の人々を21年間にわたって追跡調査しました。その結果は衝撃的でした。血中のエルゴチオネイン濃度が高い参加者は、心血管疾患を発症するリスクが低く、さらに総死亡リスクも低いことが明らかになったのです。

この結果は、エルゴチオネインが特定の病気だけでなく、全体的な老化プロセスに関わり、より長く健康な生活を送るために重要な役割を果たしている可能性を示唆しています。

エルゴチオネインを食事に上手に取り入れるには?

エルゴチオネインを最も効率的に摂取できる食品は、きのこ類です。特に、ヒラタケ、エリンギ、シイタケなどに豊富に含まれています。

きのこを調理する際には、一つ重要なポイントがあります。

エルゴチオネインは熱には強いですが、水に溶けやすい性質を持っています。栄養を逃さないためには、スープやシチュー、あんかけ炒めなど、汁ごと食べられる調理法がおすすめです。

また、ある研究では、ヒラタケ(oyster mushroom)は成熟の中間段階(若くてしっかりとした状態)でエルゴチオネインの含有量が最も高くなることが示唆されています。きのこを選ぶ際は、新鮮で若いものを選ぶと良いかもしれません。

結論:次の健康革命は食卓に現れるかもしれない

エルゴチオネインは、私たちの体が自らは作れず、きのこなどの菌類だけが作り出せるユニークで強力な成分です。脳の健康維持から、肌の老化防止、心臓や肝臓の保護に至るまで、その多岐にわたる効果は、続々と発表される科学的エビデンスによって裏付けられています。

最新科学が解き明かすエルゴチオネインの力は、日々の食事が未来の医療になり得るという、最もシンプルで強力な可能性を示唆しているのです。

【動画で知りたい方はこちら↓】(一部読み方がおかしい部分がありますが内容は正確です)

引用)

きのこラボ from ホクト エルゴチオネイン

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院長紹介

院長

Tatsuya Aoyama

皆さま、こんにちは。私たちの歯科医院では、患者さま一人ひとりに寄り添い、最適な治療を提供することを目指しています。
精密な技術と設備を活用し、痛みの少ない治療を心掛けています。また、審美治療やインプラント、メインテナンス、訪問診療、抗加齢医学的栄養療法など、幅広いニーズに対応できる専門的なケアを提供しております。皆さまの笑顔を守り、健康的で美しい歯を維持するお手伝いをさせていただきます。お気軽にご相談ください。

略歴

H6年3月
宮崎県立延岡高校卒業
H12年4月
国立徳島大学 歯学部歯学科卒業
H12年5月
歯科医師免許証取得
H12-15年
インプラントセンター、予防歯科医院など3件で勤務
H15年7月
瑞の木会 ローズタウン歯科入社
H22年2月
ローズタウン歯科クリニック 継承
H31年4月
医療法人 地天泰 理事長 就任

所属

  • 日本歯周病学会(歯周病)
  • 日本口腔インプラント学会(インプラント)
  • 日本顕微鏡歯科学会(マイクロスコープ)
  • International Team for Implantology(ITI) member(インプラント)
  • 日本抗加齢医学会(アンチエイジング)
  • 日本分子状水素医学生物学会(アンチエイジング)
  • 日本アライナー矯正歯科研究会(マウスピース矯正)
  • Er-YAGレーザー臨床研究会(レーザー)
  • 日本口腔検査学会
  • 浦安市歯科医師会
  • 千葉県歯科医師会
  • 日本歯科医師会
  • 学校歯科医会

資格

歯科医師、日本抗加齢医学会専門医、ITIセクションジャパンインプラントスペシャリスト認定医