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テクノロジーの恩恵に与る
咬む筋肉と書いて咬筋(こうきん)というとても太い筋肉が左右のあごの所に存在します。この咬筋の太さは個人差が激しく、骨格によっても発揮される力の量はかなり異なります。また、ガムを一日中噛んだりすると筋トレの効果が出て肥大したりします。咬筋が不足しすぎて噛めないという話は聞いたことがないのですが、筋肉が強すぎて問題を起こすというのはよく聞く話です。
問題を起こすとは、歯が欠ける、歯にヒビが入る、歯が割れるだけでなく、人工物の被せ物が外れる(接着が剥がされる)、人工物が割れる、インプラントのネジが緩む、インプラントの土台が割れる、インプラント自体が割れる、顎関節に過剰な力が加わる、咬筋自体の筋肉痛や筋膜炎等が発生する、咬筋だけでなく側頭筋痛が起こる、歯に過剰な力がかかり虫歯のような痛みを感じる、歯の知覚過敏が生じる、噛んだ時に歯が痛いと感じるなどです。
この咬む強さに加えて、異常な活動が加わるとさらに厄介です。
力の強さ(咬筋の強さ)×異常な筋活動(歯ぎしり、くいしばり、かみしめ)
特に異常な筋活動は自覚できないことも多く、音が鳴らない歯ぎしりも存在することがわかっており、夜間だけでなく日中に食いしばりが起こっていることもあり、真相はなかなかわかりにくいというのが実態でした。
筋肉の過剰な力に関して、当院では咬筋筋電計を用いて測定を行うことを開始して4ヶ月が経過しました。過剰な力を発揮している場合は、薬剤を注射することにより安全域に調整することが可能になっています(咬筋ボツリヌス療法)。また処置後の経過をモニタリングすることも可能になったため、2回目を行うかどうかの判定も客観的データに基づいて行えるようになりました。力の強さについては、ほぼ掌握できる様になったと思います。かなり楽になった、歯の痛みがとれたという声をいただく一方で、変化が感じられないという方もいらっしゃいますが数字上での変化は起こっており、筋肉の活動は変化していることはわかります。
さて、これに掛け算される異常な筋活動について、これまでほぼ把握できず夜間装着するナイトガード(歯につけるカバー)を極力使っていただくという手法しかありませんでした。これに関してはウェアラブルデバイスを装着していただくことにより、咬筋の異常活動をカウントすることができるようになりました。
これにより今まで全くわからなかった挙動を把握できるようになりました。カウントするだけでなく、異常な筋活動を検出したら、微弱な電流により咬筋の筋活動を抑制させるという機能も持ち合わせています。
万人に合う機器ではないですが、その恩恵により睡眠の質が高まるという報告も上がってきています。
時代の進歩、テクノロジーの進歩ですね。
装置はレンタルしていますのでスタッフまでお聞きください。