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NHKの番組「歯科インプラント トラブル急増の理由」その2(補足)
浦安市にあるローズタウン歯科クリニック院長 青山達也です。
前ブログ記事の補足です。
番組紹介は以下のような文面になっています。
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歯科インプラント トラブル急増の理由
(NO.3143)
自分の歯のようにしっかりかめるように画期的な治療法として、歯が抜けた人の1割に普及しているという歯科インプラント。ところが、顎の骨に金属の土台を埋め込む手術をする際、歯科医師のミスや技量不足のために大量出血したり、麻痺が残ったりするトラブルが相次いでおり、死亡事故も起きた。国民生活センターは5年間で2000件の相談が寄せられたとして、先月、行政や医師会などに早急な対策を呼びかけた。インプラント治療は自由診療で、標準的な治療方法が定められていない。保険診療と違って監督官庁の監視も届きにくく、十分な技術を持たない医師が、高い治療費をとれるインプラントに安易に走っているという指摘もある。そこで、学会では治療のガイドラインの策定に着手。一部の大学では、授業を新設して、治療の技術とモラルを向上させる取り組みを始めた。また、自由診療とはいえ、何らかの規制・監督が必要な時期に来ているというという声が高まっている。インプラント治療のトラブルの実態と対策を報告する。
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インプラント治療は自由診療で、標準的な治療方法が定められていない。
この文面の補足をしておきます。
日本においては、日本口腔インプラント学会という組織がありますが、
まだガイドラインを作っていこうという段階にあります。
さて、世界においてはどうでしょうか?
既に、標準的な治療方法は、実は定められています。
International Team for Implantology 略してITI という組織が非常に細かくガイドラインを策定し、
それを元に治療の成功率を高めていく取り組みが
既に30年以上前から行われています。
この組織に属している、
日本の歯科医師(私も含め)を中心とした歯科医療関係者は、
ウェブサイト上では716名。
ちなみに、歯科医師の数は現在、10万人超え。
日本口腔インプラント学会会員は2011年9月時点で12,000人(私も含め)です。
さて、
治療の標準的な方法は、ITIの中で議論され、ITIが行う教育システムによりデリバリーされます。
これらはトリートメントガイドシリーズというテキストブックにまとめられ、
現在英語版ではボリューム5まで発行されています。
ITIメンバーには新しいテキストブックが出版されると、
スイスより英語版のテキストブックが送られてくるのです。
英語が読めないという方にはさらにタイムラグが6ヶ月から1年ほどあり、
日本語翻訳版が出版されます。
(ちなみに私は、英語版です。)
このような情報を取り入れた上で、
(現在ではウェブサイト上でも、ipadなどのアプリでも可能ですが)外科治療のリスク分類と、補綴分類(SAC分類といいます)を簡単に分類できるようにまでなってきています。
ということで、話を元に戻しますと、
インプラント治療というのは、決して野放し状態ではありません。
実態は、日本国内でのガイドライン作りが大幅に遅れているだけなのですね。
今になってガイドライン作りをしようとする国、
それも日本独自に作ろうとして進まない国、日本。
一方で、世界中からインプラントに関する情報を集め、
2、3年に大々的なコンセンサス会議を世界中のオピニオンリーダーを集めて行い、
時代に即したインプラントの治療方法を常にアップデートし、
営利メーカーの思惑を全て外し純粋な治療に関する情報を
世界に配信するITIという非営利組織団体。
どちらに軍配があがるかは、言わずもがなでしょう。
このような実態も合わせて、
日本は世界から「インプラント後進国」と言われているのです。
最後に、ITI というモラルハザードを起こさない非常に優れた組織の
ミッションを掲載しておきます。
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Our Mission
研究・開発・教育を通じ、インプラント歯学と関連組織再生の
あらゆる知識の普及と振興を目指します。
患者様の利益のために・・・
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浦安市にはITI メンバーは私一人です。
お困りの方はご相談下さい。